湯浅政明監督、最新作『きみと、波にのれたら』について発表!ポニョとルーの関係性も告白
10月28日、第31回東京国際映画祭の特集企画「アニメーション監督 湯浅政明の世界」で『夜明け告げるルーのうた』(17)の上映会が行われ、トークショーに湯浅政明監督が登壇。最新作『きみと、波にのれたら』が、2019年初夏に全国公開となることを明かした。湯浅監督によると「オリジナルの長編映画」で、『夜明け告げるルーのうた』と「ちょっとつながっているところもある」とのこと。「サーフィンが好きな女の子と、消防士の青年のラブストーリー。ルーではやらなかったラブストーリーをやりたい」と意気込んだ。
『夜明け告げるルーのうた』、『夜は短し歩けよ乙女』(17)など独創的な作風で国内外の観客を魅了し、いま最も新作を待ち望まれるアニメーション監督のひとりとなった湯浅監督。ステージでは、その湯浅監督の最新作に関する情報が自身の口から明らかとなった。
『きみと、波にのれたら』について、「ジャンルはラブストーリー。シンプルなラブストーリーです。基本、ラブコメ」と語った湯浅監督。製作状況は「ちょっと遅れている」そうだが、「絵コンテも終わって、いま絵をどんどん作っている」と製作真っ只中だという。気になる声優については、周囲に確認しながら「まだ言えない」と苦笑いを見せていた。
『夜明け告げるルーのうた』の「続編ではない」としつつも、「ちょっとつながっている」という本作は、「向こう見ずなところのあるヒロイン・向水ひな子(むかいみず ひなこ)と、消防士の雛罌粟港(ひなげし みなと)による物語」だという。公開されたメインビジュアルでは、水のなかで、ひな子と港が抱き合う姿が描かれていたが「サーフィンは得意だけれど、なかなか人生の波に乗れないひな子と、なんでもうまくやっているような彼がいる。海は人生に例えられますが、自信のないような女の子が“彼と一緒に波に乗れたら”と思う。彼も“彼女を波に乗せてあげられたら”と思う」とストーリーの概要を語っていた。
また『夜明け告げるルーのうた』についてのトークでは、司会を務めた笠井信輔アナウンサーから「ポニョとルーが似ている」と突っ込まれるひと幕も。湯浅監督は「キャラクターを人魚にしたのは競合がいないと思っていた。ポニョと似ていると気づいたのは、けっこう後のこと」とぶっちゃけ、「でも宮崎駿愛はある。僕の好きなアニメーションをすごく前に出している。それは『パンダコパンダ』」と告白。「ルーのパパは、パパパンダのイメージがある」と打ち明けていた。
中学生の少年と人魚の少女が巻き起こす騒動を描いた『夜明け告げるルーのうた』では、17年のアヌシー国際アニメーション映画祭で、長編部門のグランプリにあたるクリスタル賞を獲得し、宮崎駿監督、高畑勲監督に次ぐ日本人3人目となる快挙を達成。また、森見登美彦のベストセラー小説をアニメ映画化した『夜は短し歩けよ乙女』(17)は、第41回日本アカデミー賞最優秀アニメーション作品賞を受賞。さらに第41回オタワ国際アニメーションフェスティバルでは、日本人として初めて長編部門グランプリを受賞するなど、湯浅監督の生み出す作品群は、国内外から熱視線を集めている。
取材・文/成田 おり枝