安藤サクラ、最優秀主演女優賞に涙、子育てと女優業の両立に悩んだことを告白
第42回日本アカデミー賞授賞式が、3月1日にグランドプリンスホテル新高輪で開催。最優秀主演女優賞に輝いたのは『万引き家族』の安藤サクラで、ブロンズを手に感涙し、「ありがとうございます」と声を詰まらせながらスピーチ。『百円の恋』(14)で受賞した第39回に続き、2度目の同賞受賞となった安藤だが、第一子を出産後、子育てと女優業の両立に悩んでいたことを告白した。
『万引き家族』は、祖母の初枝(樹木希林)の年金を頼りに、時には日雇い労働者の父の治(リリー・フランキー)と息子の祥太(城桧吏)が万引きを行うなどして、身を寄せ合いながら暮らす一家の物語。アンサンブル演技が秀逸で、妻の信代役を演じた安藤が、手で涙を拭うシーンも話題を呼んだ。
安藤は乳飲み子を抱えながら『万引き家族』の撮影に参加した当初を振り返り「正直、どうやって子育てをしながら、この作品に関わる時間を作ればいいのかずっとわからなくて。子育ては24時間、映画の現場は24時間。子育ての現場は全力でなければならないし、映画の現場でもそうで。どうバランスを取ったらいいかわからなくて」と述懐。
さらに「私の目標は、妻として、母として、健やかな日常を送ること」と言いつつ「でも、育った環境もあり、映画の現場は、すごく自分にとって新しい活力を与えてくれる場所で、それがないという時間を過ごしていない。この2つをどう両立したらいいのか、正直、いまはまったくわかりません」と涙する。
「でも、今日、すばらしい先輩方の姿を見て、先輩方と過ごしてきた時間を、私はこれから生きていく時間に、なにか生かしていけたらいいかなと思いましたし、どうしたって、映画の世界の方には憧れを抱いてしまうんだなと自覚しました。だから、今日、自分がそういう曖昧な気持ちでいることが嫌で、ずっともやもやしてたんですが、このすばらしい賞をいただくことができたので、必ず、自分のなかで決着をつけて、映画の時間に携われるような環境をきちんと整え、また、映画の世界に戻ってきたいと思いました」と決意を新たにした。
ほかの優秀主演女優賞は、『日日是好日』の黒木華、『人魚の眠る家』の篠原涼子、『勝手にふるえてろ』の松岡茉優、『北の桜守』の吉永小百合が受賞している。
山崎 伸子