2021年が待ちきれない!Amazon発の「ロード・オブ・ザ・リング」テレビシリーズに期待できること
J.R.R.トールキン作の「指輪物語」を原作とし、2001年から『ロード・オブ・ザ・リング』として映画化されたシリーズの前日譚が、テレビドラマとしてAmazonによって製作されることが、2017年に発表された。
Amazonは本作の2021年のリリースに向けて、約270億円という膨大な制作費はもちろんのこと、大々的な宣伝キャンペーンを企画しているという。米ビジネスインサイダーがAmazon Studiosのマーケティング代表、マイケル・ベンソン氏と今年3月に行ったインタビューによると、「ロード・オブ・ザ・リング」のテレビシリーズは、同社の作品の中で過去最高の宣伝費が投じられる予定だそうだ。
ベンソン氏は「このような大規模な番組のマーケティングはとてもやりがいがありますが、転ばぬように企画するのはチャレンジでもあります。”@LOTRonPrime”という公式ツイッターで番組情報を公開し始めており、ファンに地図を通してドラマの舞台が指輪物語の第二紀だということを明かしました。これからも番組情報を公開していきますが、『ロード・オブ・ザ・リング』のファンが期待する”忠実さ”を維持していきたいと思っています」と語っている。
ベンソン氏が言う地図とは、3月7日に「第二紀へようこそ」というコメントと共に公式ツイッターでアップされた地図のツイート画像のことだ。この地図には、指輪物語の第二紀に破壊されて海に沈められたヌーメノール(西方国)が記されており、本作の時代背景が第二紀であることが明らかになったのだ。
ヌーメノールは、アトランティスの伝説を彷彿させる非常に興味深い歴史がある島だ。ヌーメノール人はエルフとの友好関係を築き、類稀なる独自の文明を発達させたが、時が経つにつれて我欲が芽生え、中つ国で植民地支配を行うようになってしまう。これはテレビドラマの題材としても、現代に精通する題材になるのではないか。
また第二紀は、“怒りの戦い”でモルゴスが滅ぼされ、サウロンが中つ国に逃亡した頃のタイムラインになる。そのため本作では、サウロンが最大の悪役として描かれるだろうと推測されている。シリーズを通して人間、エルフ、サウロンの関係性と、戦争が軸となり、サウロンに唆されてノルドールが鍛造してしまう“力の指輪”もストーリーの一部になる可能性が高い。
本作の製作総指揮は脚本家のパトリック・マッケイとジョン・D・ペイン。映画版を手がけたピーター・ジャクソンは携わる予定はないそうで、映画版に出演した俳優の再出演も今のところは予定されていない。
また本作は『ロード・オブ・ザ・リング』の舞台となる「指輪物語」における「指輪の仲間」の出来事から3441年ほど前の設定になるため、映画版でお馴染みのキャラクターの大半は登場することはないだろう。しかし、映画版でヒューゴ・ウィーヴィングが演じた半エルフのエルロンドや、マートン・チョーカシュが演じたケレボルン、そしてケイト・ブランシェットが演じたガラドリエルなど、寿命を持たないキャラクターの登場の可能性は捨てきれない。
第二紀が舞台になることによって、新登場が期待できるキャラクターもいる。それはサウロンに対抗して中つ国のを救うべくアマンの地から送られた、ガンダルフを含める5人の魔法使いのうちの2人、”青のイスタリ”だ。「The History of Middle-earth(中つ国の歴史)」シリーズの「The Peoples of Middle-earth」では、青のイスタリは第二紀の1600年頃に中つ国にやってきたとされており、サウロンの同盟軍の侵害を防ぎ、最後の同盟の指輪戦争に関わる重要な役割を果たすキャラクターだ。この2人の魔法使いは、J・R・R・トールキンによってキャラクター像が詳しく確立されていないため、テレビ版で新しく作り上上げられる余地がある。
Amazonは、シリーズのファンが”エクスペリエンス”できる体感型マーケティングを重視しているようで、これからも番組を待ち望む世界中のファンが、一体になって本作を盛り上げて行けるように工夫すると発表している。現段階で番組の詳細はほとんど明らかにされていないが、2021年まで、SNSなどを通してますますファンに期待と疑問を抱かせる、エキサイティングな情報を小出しにしていくようだ。
LA在住/小池かおる