差別・政治・経済問題…社会派良作連発のブラピ率いる“プランB”って?
第89回アカデミー賞で作品賞を受賞した『ムーンライト』(16)をはじめ、近年、賞レースに絡む作品を連発している映画製作会社「プランBエンターテインメント」をご存じだろうか?『バイス』(公開中)や『ビューティフル・ボーイ』(4月12日公開)といった、プランBが手掛けた話題作が立て続けに日本でも封切られる、いま知っておきたい会社だ。
人気俳優ブラッド・ピットが設立!
まずプランBエンターテインメントを語るうえで外せないのが、ブラッド・ピットの存在だ。彼は、2002年に当時の妻であったジェニファー・アニストンと、かつて彼のマネージャーだったプロデューサーのブラッド・グレイと共同で、プランBを創設する。
初めてクレジットされたピット主演の『トロイ』(04)を皮切りに『チャーリーとチョコレート工場』(05)、3作目にしてアカデミー賞受賞作となった『ディパーテッド』(06)など、初期は大作系を手掛けていたが、アニストンとの離婚により、グレイがパラマウントへの引き抜きにより離脱。以降、単独オーナーとなったピットは、右腕としてデデ・ガードナーを招き入れ、インディペンデント色の濃い方向へとシフト。カンヌ国際映画祭パルムドール受賞のテレンス・マリックの『ツリー・オブ・ライフ』(11)など、才能ある監督をサポートし、成功を収めていく。
社会派からエンタメ作まで、質の良さで賞レースの常連に
ピットと言えば、元妻アンジェリーナ・ジョリーと共にチャリティー基金を立ち上げるなど、社会派として知られているが、近年、プランBが手掛ける作品選びにも、その一面は反映されている。自由黒人ソロモン・ノーサップの奴隷体験を描き、アカデミー賞作品賞を受賞した『それでも夜は明ける』(13)や『ムーンライト』、など、人種や性的指向による差別を扱った作品から、リーマンショックによる経済の破綻を題材とした『マネー・ショート 華麗なる大逆転』(15)まで、社会問題の真実を晒し出すような作品を多数生み出してきた。
現在公開中の『ビール・ストリートの恋人たち』もまた、70年代のニューヨークを舞台に無実の罪で投獄されてしまった黒人青年と彼を救おうと奔走するヒロインの姿を描いた力作。普遍的なラブストーリーでありながら、人種差別など社会問題にも鋭く切り込んでいる。監督は『ムーンライト』のバリー・ジェンキンスが務め、ヒロインの母を演じたレジーナ・キングが見事、本年度のアカデミー賞助演女優賞に輝いた。
しかし、ジャンルを限定することはせず、『ワールド・ウォー Z』(13)といったバリバリのエンタメ作から、『ウォー・マシーン:戦争は話術だ!』(17)、『オクジャ/okja』(17)といったNetflixオリジナルコンテンツまで、幅広く手掛けており、作品選びに隙がないのだ。
発売中
価格:4,800円+税
発売・販売元:ギャガ