『アクアマン』『シャザム!』が全世界で連続ヒット! DCユニバースは、“ダーク”から“明るく面白く”へ
そもそもシャザムは、DCEUのなかでも映画化があまり重要視されていなかった、隠れキャラだった。実はシャザムの映画化企画は2000年から浮上していたそうだが、ダークな世界観のDCEU映画が次々とリリースされるなか、トーンの異なる映画の実現は考えにくかったのだそうだ。それから時が経ち、6年前にハマダが「バットマンやスーパーマンではない、映画化の可能性があるほかのキャラクター」を模索したことをきっかけに、シャザムの映画化が本格的に再始動したそうだ。
このような高予算のスーパーヒーロー映画は、公開日のタイミングや、トレンドを強く意識して製作が進められることがほとんどだ。しかし本作に関しては「公開日を決めて、無理やり脚本と製作スケジュールを押し込むことはしなかった」とハマダは語る。
水面下で静かに進められていた本作の製作だが、主役のシャザム役は、なんと100人の俳優をオーディションしたのだそうだ。主役を獲得したリーヴァイは、ダークなDCEUのスーパーヒーローの主役のオーディションを受けても、絶対に自分が受かるわけはないと躊躇し、あえて大人のフレディ役でオーディションに参加したそうだ。結果そのオーディション・テープを見た製作陣が、リーヴァイの子供のような無垢な気質を見抜き、彼をシャザム役に抜擢することを決定した。
リーヴァイは、海外ドラマ好きにとっては「CHUCK/チャック」の、ユーモアあふれる気さくな印象が強い。あえて彼のような親しみが持てる俳優を起用し、本作の明るい魅力を引き出したことがヒットの理由でもあるだろう。
「ウォール・ストリート・ジャーナル」の映画評論家として知られるジョー・モーゲンスターンは、「この映画は、話の重みはもちろん、恐怖感やダークで冷たい描写、キャラクターの無慈悲さや、なぜ戦うのかを自問自答するシリアスさなどに欠けた作品だ…。つまりは最高に楽しめるってことだ!」と、いままでのDCEU作品と比較して、作品のピュアなエンタテインメント性を絶賛している。
リーヴァイの親しみを持てる性格は、映画のキャラクター内だけではない。映画が公開されてからツイッターなどのSNSで、ファンたちは本作を大絶賛しているが、リーヴァイはそのようなコメントに対して自分のツイッターアカウントで一つ一つ丁寧に返信している。
ファンの一人が「3回目のシャザムを観に行くところ…。観に行く回数制限はあるかな」とつぶやいたところ、リーヴァイは「何度だっていいよ!映画館で体験する全ての瞬間を楽しんでほしいな。このような映画は、映画館で大勢の観客と一緒に観るのが一番だ。君はもう知っているだろうけど、集団エネルギーは楽しみを倍増させてくれるよね」とコメントしている。
同じくDCEUで来年公開される『ワンダーウーマン1984(原題)』の主演女優、ガル・ガドットも自身のツイッターで「世界にシャザム!(ジャジャーン!)本当に楽しい映画だから、みんな観にいって!ザッカリー、よくやったわね!DCエクステンデッド・ユニバースにようこそ!待っていたわよ。(現在撮影中の) 標高8000フィートからお祝いしているわ」と応援ツイートを寄せた。このほかにもDCEUでは、ホアキン・フェニックス主演の『ジョーカー』が10月4日より米国公開予定となっており、映画ファンの注目を集めている。
米国で大ヒット中の『シャザム!』は日本では4月19日(金)公開。家族全員で笑って驚いて、楽しめる、映画鑑賞の醍醐味が盛りだくさんの本作に、劇場で鑑賞する価値があることは疑いようがないだろう。
LA在住/小池かおる