実はマルチリンガル!英語以外の母語を持つスターたち
移民大国アメリカでは、家庭での使用言語は英語以外ということも珍しくない。ハリウッドのなかにも“実は母語は外国語”、“英語以外もマルチリンガル”というスターは多く、豊かな語学力を活かして活躍の場を広げている。
シャーリーズ・セロン
南アフリカ共和国で誕生したシャーリーズの母語は、現地の公用語であるアフリカーンス語だ。同地では英語も公用語の一つだが、アメリカに移住した17歳当時のシャーリーズは「英語がとても下手だった」という。ハリウッド・デビューを目指して、本格的に英語の習得を始めたのは19歳の時だそうで、南アフリカのニュースサイト“IOL”のインタビューによると、「アメリカン・アクセントで話すのはいつも大変だった。でも、生き残りのためには英語が役立ったの。4000人もの女の子たちが同じ目標を目指す(芸能の)世界で、やらなきゃならないことをやっただけ。喋り方が適応できなければ、成功もできないからね」とのこと。英語学習のために多くの映画やテレビ番組を見て、アメリカン・イングリッシュを学んだそうだ。
ナタリー・ポートマン
イスラエル人の父とユダヤ系アメリカ人の母のもと、イスラエルの首都エルサレムで生まれたナタリー。3歳でアメリカに移住してからは、ヘブライ語と英語のバイリンガル環境で育ち、ハーバード大学で心理学を学んだ才媛としても知られている。語学の習得もお手の物で、アラビア語、フランス語、ドイツ語、スペイン語がこなせるという。日本には高校生の時に短期留学したことがあるとのことで、2017年に映画のプロモーションで来日した際は、日本語で自己紹介を行い会場を沸かせていた。来日時に宣伝した『プラネタリウム』(16)は、フランスとベルギーの合作映画。ナタリーはジョニー・デップの娘、リリー=ローズ・デップと共演し、そろってフランス語での演技を披露している。また、英米独共作映画『Vフォー・ヴェンデッタ』(05)で主演を務めた23歳当時には、すでにドイツ語会話ができたそうで、撮影現場のドイツ人スタッフたちを感嘆させていたという。
ヴィゴ・モーテンセン
映画「ロード・オブ・ザ・リング」シリーズのアラゴルン役で知られるヴィゴは、デンマーク人の父とアメリカ人の母との間に誕生。一家はアメリカ、ベネズエラ、デンマークを転々とし、ヴィゴが3歳の時にアルゼンチンに移住した。その生育環境のなかで、ヴィゴはアルゼンチンの公用語であるスペイン語、毎年帰省していた父の故郷のデンマーク語、そして母の母語である英語の3か国語を身につけたという。大学ではスペイン文学を専攻し、卒業後しばらくヨーロッパに滞在したそうで、そのおかげかフランス語、イタリア語会話も習得。それ以外にも、デンマーク語に近いノルウェー語やスウェーデン語まで操れるという。流暢なスペイン語を活かし、2012年にはアルゼンチン映画『偽りの人生』で主演を務め、2014年のフランス映画『涙するまで、生きる』では「アルジェリア生まれのスペイン系フランス語教師」という適役を獲得。持ち前の語学力で活躍の場を広げている。
ダイアン・クルーガー
ドイツに生まれ育ったダイアン・クルーガーだが、母親はダイアンに英語を習得させるべく、早い時期からロンドンへの交換留学に参加させていた。15歳でモデルとして人気を獲得したダイアンは、パリに移住してモデルの仕事をしながらフランス語も習得。フランスの演劇学校を優秀な成績で卒業してフランス映画に出演し、その後ハリウッド進出を果たした。クエンティン・タランティーノ監督作品『イングロリアス・バスターズ』(09)ではドイツ人役を演じたダイアンだが、監督によると「ダイアンの英語があまりにもアメリカンだったので」、ドイツ人の役にするのをためらったほどだという。ハリウッド、フランス映画界で活躍しつつ、2017年のドイツ映画『女は二度決断する』に主演。母語での演技が評価され、第70回カンヌ国際映画祭でみごと主演女優賞を獲得している。
UK在住/シャオ