【今週の☆☆☆】奇跡の実話を名優が映画化した『風をつかまえた少年』や無名監督&キャストによる異色作『メランコリック』など週末観るならこの3本!
Movie Walkerスタッフが、週末に観てほしい映像作品3本を(独断と偏見で)紹介する連載企画。今回は、8月2日から今週末の公開作品をピックアップ。あの名優の初監督作に、“第二の『カメ止め!』”とも言われる話題作、80sテイストのスリラーなど、バラエティあふれる作品ばかり!
感銘を受けたというイジョフォーの素直な感動が宿る『風をつかまえた少年』(8月2日公開)
実話ベースの映画がわんさか作られているが、その中でもまっすぐな気持ちがひしひしと伝わるノンフィクションだ。舞台はアフリカの最貧国マラウイ。飢饉と干ばつで国民が苦しむ中、14歳の少年が現実に立ち向かった。なんと独学で風力発電機を作り出し、畑に水を引こうと考えたのだ。少年は、発電機の材料として、村では高級品の“自転車”を調達することができるのだろうか?本作で初監督を務めたのは『それでも夜は明ける』の名優キウェテル・イジョフォー。奇跡の実話に感銘を受けたというイジョフォーの素直な感動がそのまま映画に宿ったような、シンプルだが力強い演出に心を揺さぶられる。(映画ライター・村山章)
東京国際映画祭ほか各賞受賞も納得の『メランコリック』(8月3日公開)
第二の『カメ止め!』と期待される、無名監督&キャストによる異色作。東大卒のニート青年が、深夜に殺人&死体処理を請け負う銭湯でバイトし始めるが…という一見突拍子のない話ながら、“なるほど、こう来たか”と膝を打つ展開への繰り出し方が上手い。さらにニート青年の“ぼんやりフワフワ加減”がたまらない。裏家業を知った瞬間のキョドり方も、手伝った後の“人間デカくなった”気分の勘違いも、別のバイト青年に焼きもちを焼く卑小さも、思わず吹き出してしまう。ユルいのに飽きさせず、情けないのに憎めない。このオリジナルなおもしろさはクセになる!監督はじめOne Gooseという製作チームは要注目。第31回東京国際映画祭日本スプラッシュ部門監督賞の他、各賞受賞も大いに納得。(映画ライター・折田千鶴子)
観る者の予想を超えるダークな展開へなだれ込む『サマー・オブ・84』(8月3日公開)
Netflixオリジナル・ドラマ「ストレンジャー・シングス 未知の世界」の大ヒットなどにより、1980年代ポップカルチャーへの関心が高まっている昨今。題名が示すように“1984年の夏”を背景にした本作は、当時流行したジュブナイルもの(十代の若者たちの冒険映画)とスラッシャー・ムービーの要素を融合したミステリー・スリラーだ。思春期まっただ中の少年4人組が、地元を騒がす連続殺人鬼の素性を暴くために独自の調査を開始。彼らの微笑ましい日常の中の友情や恋を描き、甘酸っぱい郷愁を誘う映像世界は、観る者の予想を超えるであろうダークな展開へとなだれ込んでいく。無邪気な主人公の胸をグサリとえぐる“戦慄の結末”を目撃せよ!(映画ライター・高橋諭治)
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週末に映画を観たいけれど、どの作品を選べばいいかわからない…という人は、ぜひこのレビューを参考にお気に入りの1本を見つけてみて!
構成/トライワークス