『ロケットマン』監督&主演コンビに直撃!タロン・エガートン「エルトン・ジョンを演じるのは危険を恐れない思い切りが必要」
5度のグラミー賞受賞歴を持つ伝説的ミュージシャン、エルトン・ジョンの半生を描いた『ロケットマン』(8月23日公開)。『キングスマン』シリーズで一躍ブレークし、主人公エルトンを演じた本作では、全21曲もの楽曲を自らの声で歌い上げたタロン・エガートンと、『ボヘミアン・ラプソディ』(18)の最終監督を務め、本作で新たな音楽映画に挑戦したデクスター・フレッチャー監督がそろって来日。タッグを組むのは『イーグル・ジャンプ』(16・未)に続いて2度目となる2人が『ロケットマン』に懸けた想いを語ってくれた。
「コンニチハ~。アリガトウゴザイマース!」とカタコトの日本語で挨拶をしながら、元気にインタビュー室に入ってきた2人。さらにデクスター監督は“タロン・エガートン”“デクスター・フレッチャー”とカタカナで自ら書いた紙を持ち、その名前とタロンと自分のことを交互に指さすというお茶目な自己紹介を披露。思わずクスッと笑ってしまう、なごやかな雰囲気を瞬時に生み出す手腕はさすがだ。
「(デクスターは)眼鏡を2つかけているスタイルがおもしろい(笑)」(タロン)
――2人は、1988年のオリンピックに出場した実在のスキージャンプ選手、エディ・エドワーズの伝記映画『イーグル・ジャンプ』でも一緒に仕事をされていますが、監督から見た、俳優としてのタロン・エガートンの凄さとは?
デクスター監督(以下、監督)「『イーグル・ジャンプ』の時は、タロンはスキーが全く出来なかったので、使い物にならなかったんだ(笑)」
タロン「そうだったね(笑)」
監督「でも、タロンがすばらしい歌声を持っていることは知っていたので、今回、彼がエルトン・ジョンを演じるという企画を聞いた時、なんてすばらしいアイデアなんだと思って食いついたよ。実際、タロンはすばらしい演技を見せてくれたね。本作は完全にミュージカルだったので、一人ひとりのキャラクターの心情や、そのシーンで伝えたい感情を、歌声に乗せていく必要があった。演じながら、歌唱力も証明しなければならなかったんだ。タロンはその両方ができる稀有な役者。特に本作は、楽曲の新たな解釈というのも、タロン自身が加えなければならなかった。本当にタロンにしかできなかった役だと思うね」
――タロンさんは監督のどんなところに惹かれますか?
監督「わー、やめて、やめて(と恥ずかしがる)」
タロン「まず、デクスターは髪型がサイコーだよね。常に眼鏡を2つかけているスタイルもおもしろい(笑)。あと、誰よりも2倍賢い」
監督「ひー(と照れる)」
タロン「デクスターとは『イーグル・ジャンプ』の前から、本作のプロデューサーのマシュー・ヴォーン(『キングスマン』シリーズを立ち上げた人物)を介して、友情を育んでいたんだ。エルトン・ジョンを演じるのは正直なところ、危険を恐れない思い切りがかなり必要だった。エルトンは衣装が派手だから、周囲から『凄い格好しているね……』という色眼鏡で見られる可能性もあったけど、そんな中で僕が落ち着いて演技ができたのは、デクスターが良い環境を作ってくれるという絶対的な安心感があったから。彼は監督としての情熱も、物語を扱う能力も高いんだけど、何よりも僕にとっては、確固とした信頼関係を築けていることが一番大きいんだ。それって、監督と俳優の関係としては、けっこう珍しいんだよ。他の監督にはないことなので、本当にすばらしいと思う」
監督「やったね!(と両手の親指を立てて喜ぶ)」