これを見れば『楽園』のおもしろさ倍増!現役の東京大学院生芸人による徹底解説動画が公開
「悪人」や「横道世之介」、「怒り」など、多くの著作が映画化されている人気作家、吉田修一の「犯罪小説集」を、「64-ロクヨン-」の瀬々敬久監督が映画化した『楽園』が10月18日(金)より公開となる。ある地方都市で起きた少女失踪事件をきっかけに交錯する人々の姿を描いた本作で、村民から少女誘拐の容疑をかけられられる青年、豪士を綾野剛、失踪した少女の親友だった紡を杉咲花、村民同士のいざこざで村八分にされてしまう男、善次郎を佐藤浩市ら豪華キャストが演じた。
今回、現役の東京大学院生芸人として活躍する傍ら、自身のYoutubeチャンネル「コンテンツ全部見東大生」で映画やドラマなどの紹介動画を配信しているXXCLUB大島育宙が『楽園』を深堀りレクチャーする特別動画が、Movie WalkerのYouTubeチャンネルにて公開となった。
公開となった動画では、一足先に本作を鑑賞した大島が、「吉田修一作品と映画との親和性」「瀬々監督の作家性」「いままで見たことのない綾野剛、佐藤浩市」「原作『犯罪小説集』について」「細かすぎる注目ポイント」「実際の事件を扱い映画の系譜」と、いろいろな角度から『楽園』を鋭く分析。
もともと吉田修一のファンだったという大島は、なぜ吉田の文学は映画化されやすいのかということについて「作品の舞台となる土地へのこだわりが強く、人間の多面性を、人間の内面ではなく行動ベースで描くために群像劇を用いている。だから、心理描写やモノローグが少ないため、直接映画にしやすい」と独自の解釈で紹介している。
そのほか、瀬々監督のエッセイや松江哲明との対談などを収録した著書「瀬々敬久映画群盗傳」やあらゆるインタビューなどの情報から、弱者に寄り添い、その時代の社会問題を切り取ることを得意とする瀬々監督の作品に共通するテーマと作家性についても「例えば、犯罪について描く際に加害者側と被害者側のように、それらを物事を分けて描くような“二項対立”を瀬々監督は嫌っていて、それに対するアンチテーゼを唱えるようなものを映画として作っている」と分析。『楽園』でも瀬々監督は、複雑な登場人物たちの心の動きを“善人”“悪人”と、わかりやすく区別することなく描ききっている。
これまで、様々な映画やドラマに出演しながらも、“弱者”を演じることの少なかった綾野剛、佐藤浩市についても「これまで見たことのない綾野剛、佐藤浩市を見ることができる」と紹介。『楽園』での2人の描かれ方について大島は「生まれながらの弱者ではなく、社会生活を営んでいく上でのけ者にされていく者たちの様子が描かれており、そんな彼らの悲哀を見事に演技で表現している」「こんな綾野剛の演技は、今後もしかしたら見ることができないかもしれない」と大絶賛。
すでに観た人、これから観る人が、余すことなく本作を楽しむことができるこの徹底解説動画と合わせて、現在の社会問題に鋭く切り込んだ映画『楽園』を存分に堪能してほしい!
文/編集部