石橋蓮司の18年ぶり主演作は小説家のヒットマンが主人公!?『一度も撃ってません』公開決定
<スタッフ&キャストコメント>
●石橋蓮司(市川進役)
「この作品は、撮影スケジュールをとにかくこなす、ということだけでなく、昔僕たちが若い時代に作っていた映画のように、アイデアを出しあってやれた現場でした。夢を諦めながらも必死にしがみついていく我々世代の大人たちの話です。言ってみれば、“昭和の時代の挽歌”というのでしょうか。ハードボイルドな作品ではあるのですが、あまりシリアス過ぎると共感を呼ばないので、“あくまで、これは喜劇なのだ”という阪本監督の姿勢には賛成でした。真面目にやればやるほど、ある意味喜劇になるかもしれない、はたまたリアリティとして受けとる人もいるでしょう。共感してくれる人がいてくれたら嬉しいですね。ハードボイルド映画ですから、撮影中、もっとかっこよく歩きたいな、なんて思うんですが、年なんですね、まっすぐ歩こうとするけど余計によれちゃったりして(笑)。映画の基礎を作ってきた70年代の厳しく激しい昭和の映画作りの現場や、80~90年代も経験してきましたが、逆に一番のロマンを作ってきた時代だったな、と感じています。この映画は、お利口さんに生きることができず不器用で、でも心情的には熱いものがあって、時代に合わせて生きていくことができない人間たちの物語です。それが昭和の人間の良さであり、”悪さ”とも思う。そんな作品になってくれればと思っています。ぜひ面白がって見ていただけたらと思います」
●阪本順治監督
「これは、たとえ、ひとところにいようとも、流れ者たちのものがたり。排気ガスや煤煙や紫煙を肺いっぱいにすい込んできた世代が、せっせと音楽に、映画に、演劇に、涯は政治にからだを預け、そのなかで栄養を摂り、生きてきた。それがいま、“なんですか、この慈悲心のない、みせかけだけの時代は”と、不愉快きわまりない。が、それをぐっとのみこんで、“まあ、遊ぼじゃないか”と集まったものどうし、戯れ、じぶんたちのすきな世界をいつまでも求めて、ひとびとから距離を置き、いや、距離を置かれ、忘れ去られるのは、それはそれでさみしいなと、嘆いたりもするが、それよりずっと大切なじかんがあると、朝から晩までうろたえることをやめない、この作品は、そんな輩たちの、哀愁ただよう活劇&ど喜劇で…あ、そういえば、どこかの小説家が、どこかにこんな言葉を残していたらしい。“なにか言いたいやつは、みんなどこかおかしい”どうか、日ごろのうっ憤をありったけ持ち込んで、私たちの、架空に遊ぶ無邪気なさまを観ていただければ、きっと心は晴れやかに!」
文/編集部