驚異的な没入感に、思わず息を呑む…『Fukushima 50』がDolby Cinemaで深化する

コラム

驚異的な没入感に、思わず息を呑む…『Fukushima 50』がDolby Cinemaで深化する

命懸けの作業「ベント」に当たる決死隊に涙の嵐!

【写真を見る】暗闇のなか、命懸けのベント作業に当たる作業員たち…Dolby Cinemaで再現されたリアリティに驚愕
【写真を見る】暗闇のなか、命懸けのベント作業に当たる作業員たち…Dolby Cinemaで再現されたリアリティに驚愕[c]2020『Fukushima 50』製作委員会

メルトダウンという最悪の事態を回避すべく、伊崎が率いる作業員たちは、原子炉格納容器の圧力を手動で抜く「ベント」という決死のミッションに当たることに。このベントは暗闇のなか、懐中電灯だけを頼りに灼熱の通路を進んでいくという非常に危険な作業である。まさに“決死隊”という言葉にふさわしいFukushima 50たちの姿は、涙なくしては観られない。いや、作業員たちだけではなく、東電本店、官邸、マスコミ、被災者、自衛隊、米軍など、隅々まで丁寧に描かれたドラマには、また大いに心を揺さぶられた。

そして、やはり一番心に残ったのは、終盤の桜のシーンだ。満開の桜に福島の美しい緑、山、川、そこにいる地元の方々の映像も差し込まれていく。とりわけ夕陽のグラデーションもDolby Cinemaでは非常に繊細に映しだされ、いまだ故郷が帰還困難区域となっている被災者の心情がリアルに迫って胸が張り裂けそうになる。

『Fukushima 50』は大ヒット公開中
『Fukushima 50』は大ヒット公開中[c]2020『Fukushima 50』製作委員会

私は震災当時、東京にいて被災地の映像をただテレビで観るだけでもかなりショッキングだったが、『Fukushima 50』を観たあとに沸き起こった感情は、いままで抱いていたものとは別次元のものだった。津波の恐ろしさはもとより、Fukushima 50の方々の“死闘”を知り、驚愕したのだ。

桜のシーンでは、伊崎の「このことは必ず後世に語り継いでいく」という熱い誓いが、くさびのように心に刺さった。もちろん、これはあくまでも映画であるが、映画館で“体験”したあとは、あらためてこのことを風化させてはいけない、そして「対岸の火事」という感覚を持ってはいけないと痛感した。ぜひ日本はもちろん、世界中の多くの人に映画館で観ていただきたい。

取材・文/山崎 伸子


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