批評家が選ぶ、ホアキン・フェニックス出演作ランキング!『ジョーカー』だけじゃない“フレッシュ”10選
残念ながら『ジョーカー』はランク外に。けれども10作品のどれを観ても、ホアキンの見事な演技力を味わえることは保証できる。トップに輝いたのは95%フレッシュを獲得した『her 世界でひとつの彼女』で、同作はアカデミー賞の作品賞にもノミネート。ホアキンは人工知能に恋をする主人公を演じ、共演したルーニー・マーラと交際に発展。先日のアカデミー賞授賞式にも2人一緒で会場に姿を現し、授賞式後にはリラックスして“ヴィーガン・バーガー”を食べる微笑ましい姿が目撃されていた。
ほかにも10代の頃に出演した『バックマン家の人々』から、その天性の演技力の高さを発揮した出世作『グラディエーター』、伝説の歌手ジョニー・キャッシュ役を演じて大絶賛を集めた『ウォーク・ザ・ライン/君につづく道』など、ターニングポイントとなる作品のほとんどが高評価を獲得している。『ビューティフル・デイ』、『ゴールデン・リバー』、『ドント・ウォーリー』といった近々の作品は、もはやホアキンの演技によって魅力が倍増したといえるだろう。
このなかでとくに必見の作品は、ポール・トーマス・アンダーソン監督のメガホンのもと、故フィリップ・シーモア・ホフマンと白熱の演技合戦を繰り広げた『ザ・マスター』。新興宗教にのめり込んでいく男を演じたホアキンの鬼気迫る表情は、観客を一気に作品の世界に引き込んでくれる。同作でアカデミー賞にノミネートされたが、受賞には至らず。おそらく同じ年に『リンカーン』(12)のダニエル=デイ・ルイスが候補になっていなければ、ホアキンはもっと早くオスカー俳優になっていたかもと、ついつい考えてしまう。
また2000年代後半には突然歌手への転向を発表し世間を騒がせたホアキン。後に『容疑者、ホアキン・フェニックス』(11)のための“仕込み”であったと明らかになるなど、その演技へのあくなきまでの没頭ぶりは有名だろう。先のアカデミー賞授賞式では「この表現活動は、僕にとてもすばらしい人生を与えてくれた。演技は自分たちの声を、声なき者たちのために使う機会だ」と真摯な姿勢でスピーチ。着実に“名優”への階段を上っているホアキンから今後も目が離せなくなること間違いなし。いまのうちに、その圧巻の演技の数々をしっかりとチェックしておいて損はない。
文/久保田 和馬