批評家が選ぶ、ブラッド・ピット出演作ランキング!“フレッシュ”なおすすめ映画10選
『ジョー・ブラックをよろしく』(98)や『ファイト・クラブ』(99)など、ピットの人気を決定付けた作品が上位から漏れるなかで、最高の評価を獲得したのは94%フレッシュを獲得した『マネーボール』。本作でピットが演じたのは、メジャーリーガーとしての夢を諦め経営危機に陥った球団を建て直すために奔走する実在のゼネラルマネージャー、ビリー・ビーン役。それまでのキラキラと輝くスター性の強いイメージを極限まで抑えた風格のある演技は高い評価を集め、同年のアカデミー賞では主演男優賞にノミネートされた。
ほかにもキャリア初期の代表作と言える『12モンキーズ』や『セブン』、それらより前に出演した『テルマ&ルイーズ』も高評価を集めているが、実に半数が2010年代に出演した作品というのは見逃せないポイントだ。カンヌ国際映画祭でパルムドールを受賞したテレンス・マリック監督の『ツリー・オブ・ライフ』や、ジェームズ・グレイ監督のSFスリラー『アド・アストラ』、そしてクエンティン・タランティーノ監督の2作品と、批評家から愛される監督の作品でとびきりの存在感を放つようになったピットは、名実ともに映画界に欠かせない俳優に成長したと言えるだろう。
やはり最大の注目作は『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』。レオナルド・ディカプリオ演じる主人公の盟友であるスタントマンのクリフ・ブース役を演じ、アカデミー賞受賞もうなずける大活躍をみせてくれる。50代半ばに差しかかったとは思えない鍛えあげられた肉体を惜しげもなく披露する屋根修理シーンをはじめ、クライマックスでの怒涛のバイオレンス。『イングロリアス・バスターズ』に続いて、タランティーノ監督の作風とぴったりとマッチしたひょうひょうとしたキャラクターはまさにハマり役だ。
俳優として活躍する一方で、いまやプロデューサーとしても2本のアカデミー賞作品賞受賞作を輩出するなどマルチな活躍を見せるピット。“ブラピ”という圧倒的なブランド力をさらに強め、次はどんな役柄で世界を魅了してくれるのか。いまのうちに初期の作品から振り返り、その弾けんばかりのスター性を堪能してみてはいかがだろうか。
文/久保田 和馬