批評家が選ぶ、ケイト・ブランシェット出演作ランキング!凛々しき演技派女優の“フレッシュ”10選
オーストラリアで生まれ舞台女優としてキャリアをスタートさせたブランシェットは、地元で映画デビューを果たすやすぐさまハリウッドに進出。そして1998年に公開された『エリザベス』でエリザベス1世の若き日を演じ、第71回アカデミー賞主演女優賞にノミネートされるなどたちまち脚光を浴びることに。その後もハリウッドの娯楽映画からヨーロッパのインディペンデント作品まで幅広いジャンルの作品でその類稀なる演技力を発揮し、2001年にキャリア最大の転機が訪れる。
それがもっとも高い評価を獲得した『ロード・オブ・ザ・リング/二つの塔』をはじめ、トリロジーすべてが10傑にランクインしているピーター・ジャクソン監督の「ロード・オブ・ザ・リング」シリーズだ。J.R.R.トールキンの世界的文学「指輪物語」を原作にした同シリーズは、3作すべてがアカデミー賞作品賞にノミネート(『王の帰還』は作品賞を含む史上最多タイの11部門に輝いている)。主人公フロドを導く“エルフ”と呼ばれる種族のひとり、ガラドリエル役を演じたブランシェットは、本作で名実ともにスター女優へとのぼり詰めることになるのだ。
その後もブランシェットには、いくつものターニングポイントとなる作品が存在し、そのいずれもが高評価を獲得している。86%フレッシュを獲得したマーティン・スコセッシ監督の『アビエイター』では、大女優キャサリン・ヘプバーン役を演じ、ついにアカデミー賞助演女優賞を受賞。「ロード・オブ・ザ・リング」直後の出演作で、いきなり貫禄充分の演技を披露することに。
さらに2013年には91%フレッシュの『ブルージャスミン』でウディ・アレン監督と初めてタッグを組み、主要映画賞や批評家協会賞を総なめに。そして94%フレッシュを獲得したルーニー・マーラ共演の『キャロル』は、この10傑のなかでも群を抜いた一本。演技派女優2人が織りなすせつない恋模様と、色彩豊かな美しい映像美にこの上ない多幸感を味わえること間違いなしだ。
さらに、91%フレッシュを獲得した『ヒックとドラゴン2』と『ヒックとドラゴン/聖地への冒険』など、持ち前の演技力の高さは声の演技でも余すところなく発揮されている。日本国内で未配信のため10傑には加えられなかったが、92%フレッシュを獲得しているスタジオジブリ制作の『崖の上のポニョ』の北米公開版でブランシェットはグランマンマーレ役を務めている。ジブリ映画の英語吹替版はその絶妙なキャスティングセンスが毎回話題を集めており、日本国内で発売されているBlu-rayにも収録されるほど。気になる方は是非とも英語で再生し、天海祐希が声を務めたオリジナルのグランマンマーレと聴き比べてはいかがだろうか。
そんなブランシェットは、今後もさらなる高評価が期待できる新作映画が続々と待機中だ。新型コロナウイルスの影響で撮影が休止されているギレルモ・デル・トロ監督の『Nightmare Alley』や、ロッテン・トマトで88%フレッシュの高評価を獲得しアカデミー賞作品賞候補にもなった『マネー・ショート 華麗なる大逆転』(15)のアダム・マッケイ監督の最新作で、ジェニファー・ローレンスが主演を務めるNetflix作品『Don’s Look Up』。
さらには『ロスト・シティZ 失われた黄金都市』(16)や『アド・アストラ』(19)などで批評家から絶大な支持を集めるジェームズ・グレイ監督の最新作『Armageddon Times』や、『ソーシャル・ネットワーク』(10)のアーロン・ソーキンが脚本を務める『Lucy and Desi』などなど。いずれも本稿で紹介した10傑を更新する可能性を秘めているのはもちろんのこと、ケイト自身にとって3度目のアカデミー賞受賞もねらえる注目作ばかりだ。
文/久保田 和馬