『トータル・リコール』が早くも名作SFと言われる理由はその原作に秘密が

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『トータル・リコール』が早くも名作SFと言われる理由はその原作に秘密が

8月10日(金)から公開されるSFアクション『トータル・リコール』。本作記憶が売買される近未来の地球を舞台に、退屈な日常に嫌気がさし、人工記憶を買おうとした男がトラブルに遭遇し、自分が何者なのかという謎に直面、さらに世界の運命を握る戦いへと巻き込まれていくというストーリーだ。かつて、アーノルド・シュワルツェネッガー主演で映画化された本作は、人気SF作家フィリップ・K・ディックの短編小説が基になっているが、ディックがどんな人物なのかということについては知らない方も多いのではないだろうか。

1950年代から作品を発表し、1963年に「高い城の男」で優れたSF小説に与えられるヒューゴー賞を受賞するなど、SF小説の世界では知られた存在だったフィリップ・K・ディック。だが、彼の名がより多くの人々に知れ渡るようになったのは、長編「アンドロイドは電気羊の夢を見るか?」をリドリー・スコット監督が映画化した『ブレードランナー』(82)でのことだ。

以降、短編「少数報告」をトム・クルーズ主演で映画化した『マイノリティ・リポート』(02)、初期作に当たる短編「調整班」をマット・デイモン主演で映画化した『アジャストメント』(11)など、彼の作品の数多くが映画化されているが、実は1982年に53歳で亡くなっており、その映画化作品を本人は一本も見たことがないのだ。

彼の作品の特徴として、“アイデンティティの喪失”や“追うという行為”が描かれているものが多く、自分が何者なのか、それを追い求める過程で何者かに追いつめられていくという点では、『トータル・リコール』はフィリップ・K・ディックの世界観を色濃く反映させた作品と言えよう。本作の原作となった「追憶売ります」は短編なので、是非本編を見る前に一読し、映画との違いも含めて堪能してもらいたい。【トライワークス】

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