小西遼生「この映画は僕の演じてきた冴島鋼牙の物語の集大成」
ハイクオリティなCG、VFX技術を駆使した大人のための特撮ヒーローシリーズとして登場し、7年もの長きにわたって表現の場を広げ進化をし続けてきた「牙狼<GARO>」。今までのシリーズ、映画を経たことによって進化した映像美と最終章の物語にふさわしい新たなるキャストを迎え、小西演じる冴島鋼牙の最終章となる物語『牙狼<GARO> 蒼哭ノ魔竜』(2月23日公開)がいよいよ幕を開ける。
めくるめくような映像の連続で、見る者を圧倒するシーンが次々に展開していくが、シーンのほとんどがCGだ。セットのないグリーンバックや、目に見えない相手に対してどのように演技をこなしているのかを聞くと、「通常の演技って、相手の反応を見ながら行いますよね。でも今回の撮影では、クランクインから数日間、セットも相手もいない状態で演技を一人でしないといけないシーンが多くて。アクションで肉体的に辛かったというよりも、想像力を今まで以上に駆使しての撮影だったので、想像することで頭が疲れる日々でした。これまで長くシリーズに携わってきて、ある程度は完成像をイメージできるようになったつもりなんですが、
自分のイメージも持ちつつ、対象物がどんなものか監督に聞いたり、現場のスタッフと一つ、一つ相談しながらこなしていました。本当に大変だった分、今回の世界観は想像をはるかに上回るものに仕上がっていたので本当に嬉しかったです」。
牙狼で楽しみなのが、最後に登場するボスキャラ。約束の地の支配者ジュダムを演じた大女優の松坂慶子との共演について尋ねると、「現場で松坂さんにお会いして、物腰の柔らかさとオーラに緊張したのを覚えています。本格的なアクションが初めてだと聞いていたのですが、そうとは思えないぐらい上手かったです。楽しそうに演技しているんですけど、役者としてワンシーンごとの集中力がすごく、大女優の松坂さんと共演できたのはすごく幸せでしてし、良い経験をさせてもらえたと思っています」。
7年間続いた牙狼シリーズで得たものは何かと聞くと、「最初に鋼牙を演じた時が23歳で、本格的に役者を志し始めた時期だったんです。最初はスタッフの方から怒鳴られてばかりで、必死に演じていました。でも、スタッフの皆さんが本当にキャラクターや作品が大好きだったからこそ、厳しかったんだと思います。その愛情ある厳しさが僕を成長させてくれたんだと思っています。鋼牙と僕は同じ人物ではないので、頭の中で鋼牙だったらどうするって考えて演技をすることによって、自然に演じれるようになってきたんです」。
牙狼の作品に関われたことで、もの作りで一番大切なこだわりを学んだのも牙狼の現場だったと小西は語る。「ものを作る人々の思いが、牙狼はどこよりも強く感じられるんです。こういう仕事をしているからこそ、僕たちが一番忘れてはいけないこだわりをここで学ばせてもらいました。監督、スタッフと作り上げた今回の作品は、特に表現者として、もの作りをするものとしての愛情が伝わる作品だと思うんです。人がものを生み出すことの素晴らしさが感じ取れるので、大人だけではなく、現代を生きる子供たちにも是非見てほしいです」。
「これまでのシリーズは、現実世界の日常に潜む闇や人間の欲望、エゴを描いているストーリーが多かったと思います。そんな牙狼第一期の撮影当初、こんなにもたくさんの方に見てもらい、応援してもらえるようになるなんて考えてもいなかったし、ただガムシャラに作品作りに没頭していました。シリーズを見ている人にとっては、今回の劇場版は牙狼とは思えない世界観だと思いますし、初めて牙狼の世界に踏み込んだ方でも、戸惑わずに楽しんでもらえると思います。この映画は僕の演じてきた冴島鋼牙の物語の集大成。2005年に始まった当初は、本当に手探りの状態で、これまで一つ、一つ、鋼牙と一緒に歩いて来たような気がします。みんなで作り上げた最終章となる鋼牙の物語を劇場で楽しんでもらえたら」と万感の思いを語った。さらに「この作品で関わった方たちへの感謝を忘れず、初心を忘れず、ここで教わったもの作りへのこだわりを自分なりに深めながら、さらなる素敵な出会いをもっともっと増やしてまた鋼牙を演じたいです」。鋼牙の物語は最終章とは言えども、いつの日か必ず小西演じるパワーアップした冴島鋼牙がカムバックしてくれることだろう。【Movie Walker】