向井理、片桐はいり、山本美月、及川光博にとって「ありがとう」を感じる香りとは?
心温まる家族の物語『小野寺の弟・小野寺の姉』が10月25日(土)より公開となる。姉弟を演じるのは、向井理と片桐はいり。彼らの恋のお相手となる2人には、山本美月と及川光博が抜擢された。お互いを思いやる気持ちと、「ありがとう」の香りに包まれた本作。作品の魅力について、4人に語り合ってもらった。
本作は、『怪物くん』(11)『妖怪人間ベム』(12)、TVアニメ「TIGER&BUNNY」などの脚本を務め、本作の原作小説の著者でもある西田征史の初監督作品。向井は「西田さんの作品には、緻密なキャラクター描写があって、だからこそキャラクターに説得力がある」と分析。西田監督の映画脚本家デビュー作で向井が出演した『ガチ☆ボーイ』(08)からの付き合いだというが、「西田さんの作品って、悪い人がいないんですよね。ちょっと嫌な人がいても愛嬌があるんです。憎めない奴らの集合体という感じが魅力だと思います」と話す。
進(向井)とより子(片桐)の姉弟の掛け合いが楽しく、またひっそりと互いを思いやる姿がじんわりと胸を打つ本作。中でも大事なモチーフとなっているのが、調香師である進が探し求める“ありがとうの香り”だ。それぞれが、“ありがとう”を感じる香りについても聞いてみた。
「女優になる前、映画館でもぎりの仕事をしていた。実は今でも、近所の映画館で出張もぎりをやっている」という片桐は、「映画館でも『ありがとうございました』と頭を下げると、相手も頭を下げますよね。その髪の毛につけているものの匂いかな。人が頭を下げた時にふわっと香る匂いってあるじゃないですか。やっぱり頭を下げるのって日本人だけだとも思うので、なんだか安心しますね」と話し、向井も「いい答えですね」とうなずく。
及川は「僕はフルーツかな。ハッサクの匂い。今いろいろ思い返していて、風邪で寝込んでいる時に母親がむいてくれた時の匂いを思い出しました。幼い頃のことですよ。別にマザコンじゃないですから(笑)!フルーツをむいてもらうというのは、看病してくれているということも相まって、ありがたみを感じることかもしれない」。山本は「私はベタだけれど、やっぱりお花の香りかな。花束をもらった時もそうだし、『ありがとう』という気持ちが込められている香りだと思います」とコメント。
向井は「『ありがとう』を言われる側なのか、言う側なのかでも違ってくるし…。難しいですね」と悩みながら、「お釣りとかお金の匂いかなあ。無意識に『ありがとうございました』を感じるのは」と回答。及川が「ちょっと殺伐としてない!?」と突っ込むと、4人から笑いがわき起こった。現実的な回答で笑わせた向井だが、“思いやりのシーン”で印象深いものを聞いてみると、こう話してくれた。
「いっぱいあるんですが、進でもより子にしても、一人でいる時にも頭の後ろあたりに自分の姉弟のことがチラチラ見えるんですよね。姉弟のことを常に思っている。進が、ムロツヨシくん演じる友達と飲みに行くシーンがあるんですけど、そこでも進は姉に対する思いを吐露していて。友達に『お前の独りよがりじゃないか』と言われるんですが、思いやりが行き過ぎてしまう結果が、独りよがりなんですよね」。お互いを思いやるあまり、不器用な行動に出てしまう姉と弟。そんな2人に心から愛情を感じている様子だった。
片桐と向井を中心に、誰かが話せば誰かが乗っかり、突っ込みを入れるなど、抜群のチームワークでインタビューに答えてくれた4人。芸達者なメンバーが愉快に奏でるアンサンブルを、是非とも劇場で堪能してほしい。【取材・文/成田おり枝】