第88回アカデミー賞ノミネート、サプライズを検証【その2】|最新の映画ニュースならMOVIE WALKER PRESS
第88回アカデミー賞ノミネート、サプライズを検証【その2】

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第88回アカデミー賞ノミネート、サプライズを検証【その2】

(その1の続き)現地時間の14日に行われた、第88回アカデミー賞のノミネート発表。悲喜こもごものサプライズがいっぱいとなった結果について、米テレビABCニュース、E!オンライン、LAタイムズ紙、Deadline.com、英ガーディアン紙などの多数のメディアの情報を基に、検証してみた。

注目はやはり主演男優賞にノミネートされたレオナルド・ディカプリオの受賞の行方
注目はやはり主演男優賞にノミネートされたレオナルド・ディカプリオの受賞の行方写真:SPLASH/アフロ

主演男優賞は狭き門だったため、ある意味順当な結果だったと捉えられている。レオナルド・ディカプリオ(『レヴェナント:蘇えりし者』)が5度目のノミネートを果たし、早くも話題は「悲願の受賞なるか!」でもちきりだ。しかし、昨年も受賞を逃したマイケル・キートン(『スポットライト 世紀のスクープ』)がノミネートされなかったことがある種のサプライズとして挙げられている。

主演か助演かで意見が別れているのも一因で、「助演男優賞をマーク・ラファロにもっていかれてしまったこと」や、「共演している他の演技派俳優(リーヴ・シュライバー、スタンリー・トゥッチら)のせいで注目度が下がってしまったのではないか」という意見もあるが、「オスカー会員は彼の演技を評価していないようだ」と判断しているメディアも多い。また、マイケル・B・ジョーダン(『クリード チャンプを継ぐ男』)、ウィル・スミス(『コンカッション(原題)』)に関しては、「黒人に枠はないようだ」と、こちらも人種問題に絡めてノミネートされなかった理由を挙げている。

【写真を見る】『キャロル』では、ケイト・ブランシェットが主演女優賞、ルーニー・マーラが助演女優賞でノミネート
【写真を見る】『キャロル』では、ケイト・ブランシェットが主演女優賞、ルーニー・マーラが助演女優賞でノミネート[c]NUMBER 9 FILMS (CAROL) LIMITED / CHANNEL FOUR TELEVISION CORPORATION 2014 ALL RIGHTS RESERVED

主演女優賞に関しても順当で、ケイト・ブランシェット(『キャロル』)が6度目のノミネートを果たし、その実力を見せつけた。一方でジェニファー・ローレンス(『JOY』)よりもマギー・スミス(『Lady in the Van』)の方がオスカー向きだったのではないか?との指摘から、「オスカー会員のJ・ロ」好みを指摘する声もあるようだ。

今年は例年とは違い、主演男優賞と主演女優賞はある程度予測可能だったが、作品の主演か助演かで捉えられ方が割れていることなどもあって、助演男優賞と助演女優賞が最も予測不能なカテゴリーと言われてきた。結果として助演男優賞には、イドリス・エルバ(『ビースト・オブ・ノー・ネーション』)ではなく、トム・ハーディ(『レヴェナント~』)が選ばれたことが大きなサプライズとして伝えられている。トムの演技力はかねてから評判であり、また『レヴェナント~』の快進撃を考えればある程度は予測もできたが、「イドリスは黒人、ベニチオ・デル・トロ(『ボーダーライン』)はプエルトリカンで白人ではない」ことから、特にイドリスの落選が大きなサプライズとして伝えられている。また『ビースト・オブ~』が他部門でも総スカンを食らったことも、驚きをもって伝えられている。

ケイト・ウィンスレットは『スティーブ・ジョブズ』で助演女優賞にノミネートされた
ケイト・ウィンスレットは『スティーブ・ジョブズ』で助演女優賞にノミネートされた写真:SPLASH/アフロ

助演女優賞に関しては、ケイト・ウィンスレット(『スティーブ・ジョブズ』)が7度目のノミネートを果たし、ケイト・ブランシェットと共に、「次なるメリル・ストリープ」としてその地位を不動のものにした。また、アリシア・ヴィキャンデルが『リリーのすべて』で主演女優賞でなく、助演女優賞にノミネートされたことがちょっとしたサプライズになっている。そのせいで『Ex Machina(原題)』で助演女優賞にノミネートされなかったことを惜しむ声も多い。あとはオスカー会員好みのヘレン・ミレン(『TRUMBO(原題)』)が選ばれなかったことも驚きとされているが、結果として順当だったと言えるのかもしれない。

さらに、接戦だったとはいえ、『マネー・ボール』『ソーシャル・ネットワーク』で過去に受賞歴があるアーロン・ソーキンの『スティーブ・ジョブズ』が脚色賞から漏れたこと、一方で長編アニメーション部門にノミネートされている『インサイド・ヘッド』やSF映画『Ex Machina(原題)』がクエンティン・タランティーノを差し置いて脚本賞にノミネートされたことも、最大のサプライズの1つとなっている。

ほか、歌曲賞では、故ポール・ウォーカーに捧げた『ワイルド・スピード SKY MISSION』の「See You Again」がまさかの落選。一方で、ラジー賞にもノミネートされている『フィフティ・シェイズ・オブ・グレイ』の「Earned It」がノミネートされたこと、またレディー・ガガとパートナーのダイアン・ウォレンが手掛けた「Til It Happens To You」(『The Hunting Ground(原題)』)がノミネートされたことは、大きなサプライズとして伝えられている。特にファンの間では、「『See You Again』じゃなくて、『フィフティ・シェイズ・オブ・グレイ』!しかも『Love Me Like You Do』じゃなくて『Earned It』なんてありえない!」と怒りにも似たツイートも殺到しているようだ。

何かとサプライズの多かったノミネート結果だが、授賞式ではどんなサプライズが待ち受けているのか?「今年も人種差別がいっぱいで、見る気がしない」「司会を黒人にしたから、それでいいと思っているのか」といった怒りのツイートが続いているが、視聴率の行方、悲願のオスカーがかかったレオナルド・ディカプリオなど、今から受賞結果が楽しみだ。第88回アカデミー賞授賞式は、クリス・ロックの司会で、2月28日にロサンゼルスのドルビー・シアターで開催される。【NY在住/JUNKO】

<第88回アカデミー賞 ノミネート>
▼主演男優賞
ブライアン・クランストン『TRUMBO(原題)』
マット・デイモン『オデッセイ』
レオナルド・ディカプリオ『レヴェナント:蘇えりし者』
マイケル・ファスベンダー『スティーブ・ジョブズ』
エディ・レッドメイン『リリーのすべて』

▼主演女優賞
ケイト・ブランシェット『キャロル』
ブリー・ラーソン『ルーム』
ジェニファー・ローレンス『JOY』
シャーロット・ランプリング『さざなみ』
シアーシャ・ローナン『ブルックリン』

▼助演男優賞
クリスチャン・ベール『マネー・ショート 華麗なる大逆転』
トム・ハーディ『レヴェナント:蘇えりし者』
マーク・ラファロ『スポットライト 世紀のスクープ』
マーク・ライランス『ブリッジ・オブ・スパイ』
シルヴェスター・スタローン『クリード チャンプを継ぐ男』

▼助演女優賞
ジェニファー・ジェイソン・リー『ヘイトフル・エイト』
ルーニー・マーラ『キャロル』
レイチェル・マクアダムス『スポットライト 世紀のスクープ』
アリシア・ヴィキャンデル『リリーのすべて』
ケイト・ウィンスレット『スティーブ・ジョブズ』

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