中村倫也が佐々木希のクズメンタル時代にツッコミ
「Google」などのCMを手がけ、世界各国の広告賞を受賞してきたクリエイター・柳沢翔が、満を持して放つ映画監督デビュー作『星ガ丘ワンダーランド』が3月5日(土)より公開される。本作で主演を務めた中村倫也と、共演の佐々木希にインタビュー!
中村が演じるのは、星ガ丘駅の駅員として働く瀬生温人役。ある日、彼の下へ、20年前に自分を捨てた母親の訃報が届く。どうやら死因は自殺らしい。義理の姉弟である七海(佐々木希)や雄哉(菅田将暉)、ずっと連絡が途絶えていた兄・哲人(新井浩文)と会って、心がかき乱される温人。やがて母の死の真相が明らかになっていく。
温人役は楽しんで演じたという中村。「共演者が数日ごとに現れては去っていくという現場だったので、そういう絡みを楽しみながら、作っていった感じです。いろいろと準備はしましたが、現場に入ったら全部手放して、監督やスタッフ、キャストのみなさんとセッションしながらやっていきました」。
佐々木は、病院で亡くなった母と対面するというヘビーなシーンでクランクインを迎えた。「けっこう重いシーンで、倫也さんを遠くから見て、私も気を引き締めなきゃと思いました。私は、倫也さんのお芝居もよく観ているので、久しぶりにご一緒する現場で、良い緊張感を最初に味わいました。ずっとそのスタンスで最終日までやれた気がします」。
何度も共演し、勝手知ったる仲だという2人。佐々木は「倫也さんは、私がお芝居に後ろ向きだった時期から共演しているので、今回改めて共演してみて、やっぱりすごいと思いました。現場でのあり方や、スタッフさん1人ひとりに対する気遣いがすごくて」とうなる。
中村は、「僕、愛されたいんです」とおちゃめな笑顔を見せる。また、以前の佐々木について「当時は、本当にやりたくないと言っていたんです。でも、変わりましたよね。“新佐々木希”になったという噂を聞いていました。今回久しぶりに現場で会ったら、この難しい役を、一生懸命やっていて。ああ、頼れる仲間に会えたなと思いました」と称える。
佐々木は、当時の自分をこう振り返る。「私は責任感がなく、何でも人のせいにしていたんです。仕事についても、いただくものなのに、当時はやらされているという考え方でした。でも、その後、同世代の友だちと語り合ったら、みんなしっかりと頑張っているなあと思って、私も逃げちゃいけないと思い始めたんです。数年前、女優という仕事に向き合おうと思って演技の勉強をしました」。
中村は、あふれる思いを吐露する佐々木について「普通ね、女優さんやモデルさんは、少しでもかわいく見られたいと思うものでしょ?こんなふうに素直に、自分のクズメンタルな時代を赤裸々に話さないですよ」と感心する。
佐々木は「いや、本当にクズの時代があったから」と苦笑い。中村は「彼女は華やかな見た目に反して、秋田の素直な子なんですよ。でも、素直さゆえに駄々をこねていたんです。その素直さが愛されるから良いなあと思います」と微笑む。佐々木は「大人になりました」と恐縮しながら頭を下げた。
そんな2人に、2016年の目標について聞いてみた。佐々木は「一度ごいっしょした共演者やスタッフさんに、また別の作品で呼んでもらえると、本当にうれしいです。だから、次につながるような仕事の仕方ができたら良いなと」と清々しい表情で答えてくれた。
中村は、「まずは『星ガ丘ワンダーランド』をちゃんとお届けして、その後は、チャン・グンソクみたいにセクシーな男になれたら良いなあと」と、目指せ!セクシー宣言。佐々木は笑いながら「本気で書かれちゃいますよ」と突っ込む。
中村は「俺、本気だから。“中村チャン”にしたい」と言うと、佐々木はさらに爆笑。中村は「1日1日楽しく生きて、俺が楽しいと思えることが、誰かにとって楽しければ良いなと思っています。シンプルに生きていこうかと」と力強く締めくくってくれた。
中村や佐々木をはじめ、新井浩文、菅田将暉、杏、市原隼人、木村佳乃、松重豊と、豪華なキャストがアンサンブル演技を繰り広げる『星ガ丘ワンダーランド』。役者陣の存在感はもちろん、透明感のある映像美も際立つミステリーに仕上がった。【取材・文/山崎伸子】