没後5年を迎えるエイミー・ワインハウスの魅力は「身を削って作品を生み出した」こと
27歳の若さで亡くなった歌手エイミー・ワインハウスの知られざる姿を映したドキュメンタリー映画『AMY エイミー』(公開中)のトークショーが7月20日にヒューマントラストシネマ渋谷で開催され、シンガーソングライターのAzumiとキーボーディスト/プロデューサーのSWING-Oが登壇。「エイミーの大ファン」だという2人が、今年7月23日に没後5年を迎える彼女の魅力について熱く語り合った。
すでに本作を「2回観た」というAzumiは、「エイミーの言葉や表情、歌詞の意味などから、彼女の心が壊れていく様がどんどん見えて来る。何回でも観たい」とエイミーの素顔を映し出した内容を絶賛。「リアルタイムで聴いていた時は、そこまで彼女の生い立ちや背景を掘り下げて見ていなかった」というが、本作を通して「声にも悲哀がある。シンガーとして、彼女は自分の内面をさらけ出している。心を抉って抉って、自分の身を削ることで作品を生み出していたんだ」と実感したという。
SWING-Oは「ジャニス・ジョプリン、ジム・モリソン、ジミ・ヘンドリックス、カート・コバーン、バスキア」といった、エイミーと同じく27歳で亡くなったアーティストについて言及。「名作とされるものや素敵な歌を届けている人って、ちょっと悲しい人生を送っているパターンが多い」と自身の人生体験が、独自性のある音楽にとって多大な影響を与えると話す。
するとAzumiは「私も、幸せな時には曲が書けない」と告白。「誰か私を傷つけて!と思ったりする(笑)。『朝が来ないかもしれない』という辛い状態でも、どこかで『これは歌詞になるな』と思ったり。音楽家のイヤな部分だなと思う」と複雑な心境を明かしつつも、「歌詞の中に嘘っぱちを書いても伝わらない。表現者は心を抉って作品を生み出していかないと、人には伝わらないんですよね」と改めて、表現者としてもエイミーの姿から刺激を受けた様子だった。
本作は、第88回アカデミー賞長編ドキュメンタリー賞に輝いたドキュメンタリー映画。貴重なプライベート映像とエイミーが書き留めていた数々の歌詞をもとに、ひとりの女性として生きた彼女の知られざる素顔を描き出す。【取材・文/成田おり枝】