上野樹里が「役者として最強」の理由とは?タナダユキ監督が明かす
上野樹里が3年ぶりに映画主演を果たした『お父さんと伊藤さん』(10月8日公開)の公開直前試写イベントが都内で行われ、上野とタナダユキ監督が登壇。リアルな30代の女性像を演じた上野が、撮影中に「ボロボロ泣いてしまった」というシーンを明かした。
本作は、バツイチの伊藤さんと同棲中の34歳の彩のもとに、彩の父が突然転がり込んできたことから始まる、奇妙な共同生活を描く物語。
タナダ監督は、「30代以降の人ならば、親がだんだん老いてきて、親の背中が小さく思う瞬間がある。老いていく親とどう向き合うかというのは、日本の社会問題だと思う」と口火を切り、「でもこの作品はそれを大ごととしては描いていなくて、普通の人たちの話としてユーモアを交えて描いている」と原作に惹かれたポイントを明かした。
そんな作品の中でも、上野が特にグッときたのが、藤竜也演じる父親と、リリー・フランキー演じる伊藤さん、上野演じる彩の3人で日曜日に外出するシーンとのこと。そのシーンには父の愛情の深さを感じたそうで、「現場でもカットがかかったら、涙がボロボロと出てしまって。そんな話を取材でしていたら、取材陣の女性の方と一緒にボロボロ泣いてしまった。何気ない日常の場面でグッときてしまったのは不思議」と話していた。
上野は、彩役に「ありのままの姿でいることを、シンプルに貫き通しているところは近いかもしれない」と共感たっぷり。「生活感を大切に演じた」というが、彩の髪型や服装も上野から提案したものも多かったそう。
タナダ監督は、「憑依型の女優さんだと思っていたんですが、生真面目と言っていいくらい、役作りについていろいろ考えてきてくれた。すごく感動した」と上野の演技への姿勢に感服。さらに「でも自分が考えてきたものを、相手のお芝居を見ながらどんどん変化させることができる」と上野の柔軟さにも驚き、「役者として最強」と心からの賛辞を贈っていた。【取材・文/成田おり枝】