昨年の「白すぎるオスカー」から一転!第89回アカデミー賞候補
現地時間1月24日、第89回アカデミー賞のノミネート結果が発表された。
快進撃を続けている『ラ・ラ・ランド』(2月24日公開)が13部門、14ノミネートを果たしたが、『イヴの総て』(50)、『タイタニック』(97)と並ぶ最多ノミネート記録を樹立。早くもこれまで11部門を受賞した『ベン・ハー』(59)、『タイタニック』、『ロード・オブ・ザ・リング 王の帰還』(03)が打ち立てている記録を塗り替えることができるのかに、注目が集まっている。
それを追うのが、8部門でノミネートされた『メッセージ』(5月19日公開)と、ブラッド・ピットがプロデューサーを務める『ムーンライト』(春公開)、6部門でノミネートされた、マット・デイモンがプロデューサーを務める『マンチェスター・バイ・ザ・シー』(5月公開)、『LION/ライオン ~25年目のただいま~』(4月7日公開)、メル・ギブソン監督作『ハクソー・リッジ(原題)』(夏公開)となっている。
昨年は、メインカテゴリーと言われる主演男優賞、主演女優賞、助演男優賞、助演女優賞からなる俳優部門のノミネート枠20人が白人ばかりだったことから、「白すぎるオスカー」と猛烈に非難され、一部スターらが授賞式をボイコット。
アカデミー会員のメンバー入れ替えなど、早急な対応を迫れらることになったが、今年はメキシコ人監督のギレルモ・デル・トロ監督、日本人の渡辺謙など過去のアカデミー賞受賞者や候補者が映像に登場し、それぞれの思い出を語りながら候補を発表していくという新しいスタイルで、ノミネーション発表から人種の多様性をアピール。
そして俳優部門の候補者も、20人中7人がアフリカ系やインド系俳優で占められているうえに、ほか13人のなかでもフランス人、イギリス人、オーストラリア人など多国籍な俳優たちが名を連ねており、各メディアは「人種差別主義の米ドナルド・トランプ大統領の誕生とは裏腹に、オスカーは多様性のある結果になった」と報じている。
また日本では、残念ながら長編アニメーション部門で『君の名は。』(16)がノミネートを逃したが、『ファインディング・ドリー』(16)を差し置いて、スタジオジブリが海外と共同製作した『レッドタートル ある島の物語』(16)がノミネートされており、「多様化は本当に進んでいる」との声があがった。
またトランプ大統領が、「ハリウッドで最も過大評価されている女優」とかみついたメリル・ストリープは、初めてノミネートされてから37年間で、今年ついに20回目のノミネートを果たし、「女性がオスカーの歴史に新たな金字塔を打ち立てた」といったことが話題になるなど、人種差別主義、女性蔑視のトランプ大統領の誕生と、多様性が生まれたオスカーの現状を比較する報道も多かったようだ。
これについてネットユーザーたちからは、「アートは、国境を超えるというのは本当だった」「政治とアートは別物だけど、でもアートに政治を持ち込んでいるのは、ほかならぬ俳優たちとメディアでは?」「トランプ大統領が言う通り、メディアが分断をあおっている気がする」
「昨年は人種差別じゃなくて白人が優勢だった。今年はそうじゃない人たちが優勢だっただけなのに」「いや、これは明らかに昨年の白すぎるオスカーを意識した結果」「白人が『意図的な黒すぎるオスカー』といってボイコットしていいのかな」「僕は白人だけど、今年は授賞式を見ないことにした」といったように、過剰な報道の仕方に非難の声も寄せられている。
第89回アカデミー賞授賞式は、ジミー・キンメルの司会で現地時間2月26日(日)、ロサンゼルスのドルビー・シアターで開催。【NY在住/JUNKO】