クリストファー・ノーランが語るIMAXの魅力!『TENET テネット』『ダークナイト』“臨場感”の秘密とは
さらにノーランは、IMAXカメラで撮影される映像の圧倒的な迫力について「画像の鮮明さとみずみずしさは、ほかと比較できないほどのレベルなので、35ミリで撮ったものをIMAXスクリーンで上映するために引き伸ばすのではなく、ドラマティックな映画を最初からIMAXカメラで撮影できたら観客を本当の意味でストーリーに引き込めると思ったんだ」と熱弁。その後も彼は臨場感あふれる映像を求め、『ダークナイト ライジング』(12)以降の作品すべてでIMAXカメラを駆使してきた。
そして『ダンケルク』では、IMAXカメラで生みだされる大型フォーマットの利用をさらに拡大する。全編をIMAXと65ミリフィルムの組み合わせで撮影し、観客をより直接的に“戦場”へと没入させることに成功。「この数年で気付いたのですが、もっと繊細な状況でIMAXカメラを使うと、とてつもない臨場感を作りだすことができ、それは非常に魅力的なものになるんです」と、激しいアクションシーンに限らず、物語の“静”の部分にもIMAXカメラを使用することが、作品の臨場感を倍増させる秘訣なのだと明かした。
そんなノーラン監督の最新作となる『TENET テネット』でも、例外なく70ミリのIMAXカメラが使用されている。先日から全国各地のIMAXデジタルシアターで再上映されている『ダークナイト』の本編前には、約6分間のプロローグ映像が上映されており、それを観た観客からは大きな反響が巻き起こっている。
ノーラン監督自身「これまでの作品のなかでもっとも野心的」だと自信をのぞかせる本作が、“ポストコロナ”の映画界に新たな伝説を切り拓いてくれると期待しながら、その全貌が明らかになる瞬間を待ちたい。
文/久保田和馬
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