菅田将暉が語る、運命の“糸”。小松菜奈は「いい意味で不器用な人」
「子役たちと触れ合うなかで、ウソのように父親役の実感が湧いてきました」
漣は香(榮倉奈々)という別の女性と結ばれ、家庭を築くが、今回、初めて本格的に子どもを持つ父親役に挑んだ。
「正直、自分が結婚して、子どもがいるということがイメージしきれていなかったんです。でも、現場に行ったら、子どもたちがいて、ウソのように実感が湧いたので、ちょっと驚きました。子役の(稲垣)来泉ちゃんや(中野)翠咲ちゃんが、かわいくていい子で、僕になついてくれて、現場で榮倉さんとあやしていると、『この子たちのために頑張らなきゃ』と思えてきたんです。それは自分1人ではできない役作りでした」。
菅田は、改めて母親の偉大さも実感したそうだ。
「僕自身、いま27歳ですが、19歳の時からそんなに変わっていないです。だから今回、演技にわかりやすい変化をつけるのはやめました。男は自分でお腹を痛めて子どもを産めないですから、子どもとふれあうことで父親としての実感が生まれてくるものなのかなと思います。19歳の漣を演じる時は、少し体をしぼってチャリを漕ぐのが似合う感じにはしましたが、そこから少しずつ戻していき、あとは環境に任せただけです」。
榮倉は、病に侵される役のため、1か月で7kgも減量したそうだ。「榮倉さんからはとても刺激を受けました。プライベートでは本当のお母さんなので、今回はかなり引っ張ってもらいました。実は、本作のテーマを台詞で体現するのは、香なんです。香は、榮倉さんはリアリティのある体作りと感情作りの両方をされていたから、現場では僕も感動しちゃいました」。
香が、娘に向かって「えらい人にならなくていい。泣いている人がいたら、抱きしめてあげられる人になりなさい」という台詞が心に響く。菅田も「あの台詞は僕もすごく刺さりました。特にコロナ禍で聞くと、ちょっと立ち止まって考えるきっかけになりますよね」とうなずく。