映画界の名匠が手掛けた濃密な群像劇!「連続ドラマW 悪党 〜加害者追跡調査〜」の“3つのポイント”とは【レコメンW】
レコメンド3 薬丸岳原作による重層的なサスペンス・ドラマ
全6話で展開していく本作は、佐伯が姉を殺した男たちに近付いていくというひとつの軸がドラマ全体を通して描かれながら、同時に1話ごとに異なる依頼者が登場し、それぞれの事件の加害者との物語が描きだされていく。「第2話では親子の物語が、第3話では姉と弟の物語が描かれていて、どちらの話も心に突き刺さるものがありました。意表を突かれてしまって、もう涙なしでは観られませんでした…」と、そのドラマ性の高さについて語る。
なかでも感動的だったのは、最終話で佐伯が姉の事件の加害者の母親に会いに行く場面だという。「それまでのエピソードでも、依頼主が被害者の遺族であり加害者の家族でもあるという展開はありましたが、やはり主人公である佐伯が自身の追っている事件の加害者やその家族と対面する場面はすごく重要な場面で、見応えがあります。同じ薬丸岳さん原作、瀬々監督コンビの『友罪』も加害者の視点から事件が起きた理由について迫っていましたが、本作にも共通している加害者の“贖罪”のドラマはとくに見逃せない部分だと思います」。
生田斗真と瑛太(永山瑛太)がダブル主演を務めた『友罪』は、過去に世間を震撼させた凶悪事件を起こした男と、自身もある罪によって苦悩してきた男が出会うことからはじまるヒューマンサスペンスだ。「サスペンスフルな展開で描かれる物語の向こう側に、こちらの想像を上回るほどの硬質なドラマ性を待っているのが薬丸さんの小説の魅力ですよね。それが映画ではなく、こうして連続ドラマで展開したことで、さらに深く描かれていると感じました。それに瀬々監督の作風ともぴったりマッチしていますし、薬丸岳さんと瀬々監督の3度目のタッグにも期待しています」。
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最後に魚田は、「最初は『連続ドラマW 悪党 〜加害者追跡調査〜』というタイトルを見た時に、きっと男性向けのものだという勝手な先入観を持ってしまいましたが、決してそんなことはなかったです。サスペンスでミステリー、人間ドラマでありラブストーリーでもある。いろんな視点から見られる裾野の広さは、女性はもちろん、あらゆる世代や境遇の人たちにとっても心に響くのではないでしょうか」と、本作で描かれる物語の普遍性に言及した。
「連続ドラマW 悪党 〜加害者追跡調査〜」(全6話)は、9月19日(土)24時よりWOWOWプライムにて一挙放送。2021年4月30日(金)までWOWOWメンバーズオンデマンドで好評配信中。
文/久保田和馬