映画界の名匠が手掛けた濃密な群像劇!「連続ドラマW 悪党 〜加害者追跡調査〜」の“3つのポイント”とは【レコメンW】
レコメンド1 名匠・瀬々敬久の骨太な演出
普段はSFやファンタジーといったハリウッド大作を好んで観るという「MOVIE WALKER PRESS」編集部の魚田だが、瀬々監督の手掛けた作品は複数観ていると明かす。本作については「回を重ねていくごとにどんどんおもしろくなっていって、とても見応えがありました!」と声を弾ませながら絶賛する。
「個人的に一番魅力的だったのは、東出さん演じる主人公の佐伯と、彼が調査の過程で知り合って恋仲になっていく新川さん演じるはるかとの関係性でした。すごくズシリとくる物語が展開していくなかで、2人のラブストーリーがあることでより佐伯という人物の内面が描かれていると感じました。それに、青柳さんをはじめとした各エピソードに登場する加害者たちも、ただの“悪党”としては描かれていない。人間の生々しい闇の部分がすごくリアリティを高めてくれていましたね」と各登場人物の描き込みについて熱弁をふるう。
「主人公となる人物の心の葛藤を描きながら、周りの登場人物にもしっかりと意識を配る演出は、まさに瀬々監督らしさがあると感じました。重厚で緊迫感のあるサスペンスと、感動的なドラマのバランス感は『64-ロクヨン-前編/後編』にも通じていますよね」。瀬々監督が前編で日本アカデミー賞優秀監督賞を受賞した『64-ロクヨン-前編/後編』は、昭和64年に起きた未解決の少女誘拐事件をめぐって警察内部の対立や記者との衝突を描いたサスペンス大作。時効まで1年を切ったタイミングで、手口から要求まで似通った新たな誘拐事件が起きる衝撃的な展開と、佐藤浩市演じる主人公らのドラマが緻密に交錯していく。
「被害者や加害者ら事件関係者たちが過去の事件とどう向き合うのか。何年経ってもそこに終わりがないんだということを改めて考えさせられました。『64-ロクヨン-前編/後編』と本作、そして昨年秋に公開された『楽園』も、すべて同じところでつながっているように思えます」と、近年の瀬々監督の映画作品が持つ、ひとつの大きなテーマのなかに本作も含まれていることに着目。連続ドラマWの醍醐味のひとつである、日本映画界を担う実力派監督の演出をすっかり堪能したようだ。