現代家族の在り方を問う「連続ドラマW 坂の途中の家」の観るべきポイント!【レコメンW】
レコメンド3 悩みを抱えた女性たちの群像ドラマ
子育てを巡って悩むのは、ヒロインの里沙子、被告の水穂だけではない。裁判官の朝子(桜井ユキ)は共働きの夫と共に幼い息子を育てながら、裁判官としてのキャリアも大切にしたいと考えているが、夫が子育てにイマイチ協力的ではない。裁判員に選ばれた六実(伊藤歩)は女性誌の編集長としてバリバリ働き、広告代理店勤務の夫とは理想の夫婦のようだが、不妊に悩み、そのことを知らない部下(子育て中の母親)から心ない言葉をぶつけられるなど、さまざまな悩みを抱える女性たちが登場する本作。同じように女性たちの群像劇として、杉原がチョイスしたのは英国ドラマ「ミストレス」だ。
「このドラマは、仕事、恋愛、家族などを巡って苦悩する40代女性たちの群像劇です。BBCでシーズン3まで製作され、アメリカ、ロシア、韓国、そして日本でもリメイクされ、自分らしい生き方を模索する女性たちに共感できるポイントが多いんです。『連続ドラマW 坂の途中の家』も、母であるがゆえ、妻であるがゆえに生きづらい思いをしている女性たちが多々登場し、それぞれがもがきながら、自分の道を探そうとする。思わず自分を重ねたくなる人もいるのではないかと思います。裁判を通して、ヒロインの里沙子は何を得るのか。最後の最後まで見逃せません」。
最後に杉原は「結婚や子育ては多くの人が歩む道だと思います。でも、家族になること、母親になることって本当はすごく難しい。そこには人それぞれに悩みを抱えて、喜びや悲しみ、孤独や嫉妬などいろんな感情が渦巻いているのだと、この作品を観て改めて痛感しました」と振り返った。
実の子を殺した水穂に共感を覚えてしまう里沙子は異常なのだろうか。「普通の母親ならそんなことはしない」と里沙子の夫が言うように、多様性の時代と言われながらも、「普通」という言葉で人と同じであることを求められてしまう現代。本作は子育てを通して、「普通」の結婚、子育てとは何かに踏み込み、その答えを観る者に問いかける。
「連続ドラマW 坂の途中の家」(全6話)は、2021年3月31日までWOWOWメンバーズオンデマンドにて配信中。
文/前田かおり