橋本環奈&佐藤大樹の演技をサポート!MV界の鬼才が作り上げる映像がフォトジェニックで美しい
気鋭の作家・相沢沙呼の小説を、橋本環奈と佐藤大樹(EXILE/FANTASTICS)の共演で映画化した『小説の神様 君としか描けない物語』が、現在公開中だ。小説を題材にした青春模様が綴られていく本作は、旬なキャストはもちろんのこと、映像美もまたフレッシュさの一因となっている。
佐藤大樹演じる地味で売れない小説家の千谷一也と、橋本環奈扮するドSな売れっ子小説家の小余綾詩凪、二人の高校生がベストセラー小説を生みだすべく、一緒に物語を紡いでいく姿を描く本作。性格もキャリアも正反対でぶつかり合う二人が、共同作業によって徐々に心を通わせていく距離感が、瑞々しく綴られていく。
原作者の相沢が「小説ならではの良さがすごく表現された作品だったため、最初は映像化は難しいのかなと思った」とコメントしているように、原作では、高校生たちのピュアさや未熟さが美しい言葉で表現されており、映像化においてもそこがネックに。だが、そんな同作を見事に映像にしてみせたのが、久保茂昭監督だ。
「HiGH&LOW」シリーズの監督として知られる久保は、もともとMV界の巨匠である高橋栄樹監督に師事していた経験を持ち、自らも500本以上のMVを手掛けてきた人物。卓越した映像表現に定評がある久保監督は、本作を作り上げるうえで、一也、詩凪、九ノ里(佐藤流司)、成瀬(杏花)の文芸部に所属する4人それぞれの視点から章立てして、さらに物語前半をモノクロ映像で通すという斬新な手法を取っている。
モノクロの映像に関して「本を開いて読み始めた時の感覚、つまり真っ白なページに黒い文字だけが目に飛び込んでくるその空気感」を意識したという久保監督。さらには「でも、物語に没入していくにつれ、本の世界に色が生まれていく。映像としてカラーに切り替えるタイミングは、一也が詩凪という天才に出会い彼女から受けたインスピレーションの気持ちで世界が色づいていくということです」と、カラーに切り替わる場面を主人公の気持ちとリンクさせ、より効果的なものとしているのだ。
そんな色づいた世界を表現する映像は、カラフルだがどこか淡い色づかいと柔らかいライティングが効いた、どれもフォトジェニックなものばかり。高校生たちの純粋だが複雑な心をそのまま覗いているかのような、美しい画が並んでおり、監督の見事な仕事ぶりを橋本と佐藤も大絶賛している。
キャストたちのフレッシュな演技はもちろん、映像からもキャラクターの心情を表現している本作。これらの要素の融合がどのような仕上がりになっているのかは、ぜひ劇場でチェックしてほしい。
文/トライワークス