年末年始を映画飯パーティで過ごそう!2020年公開作品から“肉×映画飯”を完全再現
ハニージンジャーソテー from 『ミッドナイトスワン』
編集部随一の肉食系女子、山田が再現したのは、『ミッドナイトスワン』に登場するハニージンジャーソテー。草なぎ剛がトランスジェンダーの主人公、凪沙役を熱演し、親の愛情を知らない少女、一果との間に生まれる擬似的な親子愛を描いた本作で、この料理は、2人の冷えた関係性の雪解けを象徴している。
「基本的には豚肉のはちみつ生姜焼き…なのですが、凪沙を演じた草なぎさんが自身のYouTubeチャンネルでこの料理動画をアップされていたので、そちらを忠実に再現することにしました。劇中では仕事が忙しく手軽にスタミナを補給したい凪沙だからこそ、調理のポイントは、“材料が少ない・手順がシンプル・濃い味付け”だと思いますし、実際にとても簡単に美味しく仕上がりました。玉ねぎは1/2個で十分なので、余ったもう半分はお味噌汁の具に活用しましたが、凪沙もそうしてたんじゃないでしょうか。とっておきの食事!という感じではないですが、温かいお米とお味噌汁とハニージンジャーソテーの献立はどこか懐かしく、親の愛を知らない少女には心まで温まる食事になったんじゃないかと、じんわり映画を思い返す味です」
●ハニージンジャーソテーのレシピ/2人前
・ 豚ロース肉(映画では厚切り)の筋を包丁で切り、肉を叩く
・ 肉の両面に薄力粉を薄くつける
・玉ねぎ1/2個を薄切り
・お肉を焼き、途中から玉ねぎを投入する
・ しょうゆ、酒(各大さじ1)と、すりおろししょうが(適量)を混ぜておく
・お肉に火が通ったら、まぜておいた調味料をフライパンに入れる
・最後にはちみつを入れ、照りがついたら火を止めて完成!
肉餅 from 『フェアウェル』
広東省出身の黄は、中国のある家族の騒動を描く映画、『フェアウェル』を鑑賞して故郷の味が懐かしくなったそう。本作の主人公ビリー(オークワフィナ)は余命わずかな祖母に最後に会うため、ニューヨークから中国へ帰郷。しかしビリー以外の家族は、昔からの風習に習って頑なに本人に余命を知らせようとはせず…。
「ビリーが久しぶりに集まった大家族と食卓を囲むシーンで、孫娘の帰国に大喜びした祖母がビリーの大好物である肉餅をふるまいます。コロナの影響で1年も帰国できず、このシーンを観るとより中国に住む家族と会いたくなり、故郷の味が恋しくなってきました。それで、『よし!自分で実家の味を再現してみよう』と思いました。
日本では中華料理のお店をよく見かけますが、肉餅はまだあんまり知られていない一品ですね。日本の食べ物だとおやきに近いです。餡は家庭によってアレンジされていて、私の実家では、食感を楽しむために春雨を入れることが多いので、今回ももちろん用意!
ただ、1人で肉餅を作るのが初挑戦だったので、耳たぶと同じ柔らかさの生地を練り上げられた時は達成感がありましたし、フライパンの中で肉餅が焼けている音を聴いている時は、うまくできるかどうかドキドキ…。楽しかったですが、1人で海外暮らしをしている私は、自然とビリーに自分を投影してしまって、家族と食事をしている時を思い出しました。家庭料理というのは家で食べるものを意味しているだけではなく、家族で楽しめることが醍醐味だな、とふと思いました。うまく包めたか確認し合ったり、餡にこだわりの食材を入れたり…家族との思い出の味を増やしてみてははいかかでしょうか?」
●肉餅のレシピ/2人前
・薄力粉(200g)をボウルに入れて、ぬるま湯を少しずつ入れ、箸でかき混ぜてパラパラにする。
・手でこねて、まとまって表面がなめらかになったら、ボウルにふたをするかラップをかけて、15分寝かせる
・ボウルに春雨(1束)を入れて熱湯を注ぎ、柔らかくなるまで置いておく。水気を切って好きな長さに切る
・牛ひき肉または豚ひき肉(200g)、ニラ(1/2束)、青ネギ(25g)、長ネギ(25g)、春雨をねばり気が出るまで一方向に混ぜる。塩、醬油、こしょう、料理酒、おろし生姜、ごま油を好みの分量入れる(お好みで椎茸やみじん切りしたレンコンなど入れるのもおすすめ)
・寝かせた生地を8等分し、全面に打ち粉をつけて丸く伸ばし、麺棒で薄く伸ばす
・皮の真ん中に具をのせ、周りの生地を中央に寄せて包む(肉まんの包み方と同じ)。手で軽くつぶすように丸く伸ばす
・フライパンにごま油を敷き、肉餅を入れてふたをして弱火で5分蒸し焼き。焼き色がついたらひっくり返し、裏面も弱火で5分焼く
・ひっくり返して再度表面を3、4分焼く。表面をパリッさせるために、ふたを取って中火にし、表と裏をそれぞれ1分ずつ焼く
・お皿に盛りつけて、好みでゴマやネギを振り完成!
とんかつ from 『とんかつDJアゲ太郎』
今年自らのベスト映画に『とんかつDJアゲ太郎』を選んだ小菅。もちろん作ったのはとんかつだが、久しぶりの料理とのことで、準備万端、アゲ太郎さながらのこだわりで臨んだ。
本作の主人公、渋谷にある老舗とんかつ屋の三代目であるアゲ太郎は、ある時、弁当の配達で初めてクラブを訪れる。そこで密かに憧れていた女性、苑子に出会い、彼女にアプローチすべく、“とんかつ”も“フロア”もアゲられる“とんかつDJ”になることを決意!
「昔は揚げ油の温度調節が大変で揚げ物はだいぶ苦手でしたが、今はコンロ側で温度をセットしておけば火加減を気にする必要なく、揚げ物との対話に集中できるのがよいですね。アゲ太郎が得意なキャベツの千切りは、スライサーでなく包丁で切るのがよいらしいです。千切りするのも久しぶりだったのと、包丁が切れないと思わぬケガをするので研石で研ぎました。
パン粉は、生パン粉の方がボリュームアップするのでおすすめです。今回はつなぎではなく小麦粉、卵、パン粉でしたが、小麦粉はちゃんと無駄な粉を払うこと。卵をちゃんと絡めないとパン粉のつきが悪くなるため注意です。パン粉は割とぎゅっとたくさん包むようにつけるのもポイントです。揚げ上がりのあとに切る際はじわっと切るのではなく、一気にザクッザクッと切ると衣が剥がれずよい感じになりますので、それもお試しを。
出来上がったとんかつは、とってもおいしい優勝です!ちょっと火を入れ過ぎたかもしれないですね。まだまだ揚げの修業が足りない…。しかしながら白飯が進む進む。僕も奥さんも、娘もみんなおかわりしていました。優勝です。
ただ、こう言うと元も子もないですが、とんかつは外で食べる方がやはりおいしいです。今の勤務地だと有名店、人気店が近くにあり、おいしいとんかつが食べたい!と急に思い立っても困らない今の環境に感謝です」
●とんかつのレシピ/4人前
・豚ロース(4枚)に塩、コショウで下味をつける
・お肉を小麦粉(適量)、卵(2個)、生パン粉(約100g)の順につけて衣をまとわせる
・熱した油で揚げる
・千切りキャベツ(1/3個)を添えて完成!
レモネード・カクテル&ミートパイ from『ミッドサマー』
編集長の下田は、「肉ばっかりで、そろそろ胃もたれがしそう…!」と、ドリンクレシピをチョイス。太陽が沈まない白夜の中で行われる祝祭を描いた、『ミッドサマー』(20)でふるまわれる“特別な飲み物”を、レモネード・カクテルで再現。本作は、大学生の友人グループが、スウェーデンの「ホルガ村」で行われる90年に一度の祝祭に足を運んだことをきっかけに、想像を絶する事態に遭遇する。
「劇中には、村人たちがずらりと並び、食卓を囲むシーンが何度も登場します。なかでも、たびたびふるまわれる黄色い飲み物が印象的。具体的なレシピは分からないものの、フローレンス・ピュー演じるダニが『どういう飲み物なの?』と聞くと『大事な一杯よ、競争のためのお茶』と教えられるシーンをヒントにティーバッグを使いました。
私だけ楽ちんドリンクだけだと忍びなく(笑)、ミートパイも添えたので、結局“肉×映画飯”になってしまいました。ミートパイは市販のパイシートを活用すれば、余った野菜をザクザク入れてミートソースを作るぐらい簡単に出来るので、『パスタもいいけど、ごちそう感がほしいなあ!』という時にもおすすめです。劇中ではドリンクにもパイにもやばめな異物が混入されていますが、自分で作れば一安心。お酒を割るドリンクを色違いにして、家族や友人にイタズラするのもおすすめです」
●レモネード・カクテルのレシピ/2~3人前
・ハニーバニラカモミールティー(2バッグ)をウォッカ(200cc)に浸す
・1時間経って、色が濃く変わったところでティーバッグを取り除く
・氷を入れたグラスに6分の1程度注ぎ、レモネード、フルーツジュースなどを注いだらよく混ぜて完成!
※20歳未満の者の飲酒は法律で禁じられています。濃度はお好みで変えてください
●ミートパイのレシピ/2~3人前
・玉ねぎ(1/2個)、ニンジン(1/2本)、にんにく(適量)をみじん切りにする
・フライパンにサラダ油を熱し、野菜がしんなりして透き通ってくるまで炒める
・合挽き肉(200g)炒めて、色が変わってきたら野菜を加えてさらに炒める。お好みでナツメグなどのスパイスを加える
・水(50cc)と薄力粉を入れ、水分がなくなるまで煮詰める
・冷凍パイシートをパイのサイズに伸ばして、2等分に切る
・パイの上に具材を乗せたら、つなぎに卵黄をぬり、上にパイをかぶせたら端をフォークでおさえる。フォークでプスプスと空気穴を空けておきましょう
・ツヤ出しでさらに卵黄を塗り、200℃に温めたオーブンで20分ほど焼いたら出来上がり!