ポスト・クラシカルの旗手、マックス・リヒターが音楽を創造する理由「私たちが直面する多くの問題に光を当てる」
「大きな課題をテーマにすることが、とても自然なこと」
リヒターはこれまでに、イラク戦争への抗議の想いを込めた「ブルー・ノートブック」、1948年に国際連合総会で採択された「世界人権宣言」の朗読を楽曲に取り入れた「ヴォイシズ」などを制作。「スリープ」のコンサートもまた、大勢が同じ空間に集まって眠りにつく光景が難民問題に結びつけることができるなど、自由と平等、平和や多様性といったメッセージを、そのキャリアを通じて投げかけてきた。
創造力の源は?という問いに対し、リヒターはこのように答えている。
「直感的なものがありますね。世の中にはたくさんの音楽や文学、芸術作品であふれています。そこに私がなにかを加えるのであれば、人間として、社会として、現在存在している大きな課題をテーマにすることが、とても自然なことなのです。そして、アートや創造物には、私たちが直面する多くの問題に光を当てる力があるとも信じています。世界人権宣言を扱った『ヴォイシズ』では、希望を失いやすいいまの時代において、『すばらしい道標があるじゃないか!』ということを提示したかったのです」
「ヨハンはかなり真剣に取り組むアーティスト」
上記の「ブルー・ノートブック」には、「オン・ザ・ネイチャー・オブ・デイライト」というリヒター最大のヒット曲が収録されている。この楽曲は『シャッター アイランド』(09)など様々な作品で使用されており、ドゥニ・ヴィルヌーヴ監督の『メッセージ』もその一つ。しかし、『メッセージ』の劇伴を務めていたのは、リヒターの盟友であり、2018年に亡くなったアイスランドの音楽家、ヨハン・ヨハンソンだった。ヴィルヌーヴから楽曲使用のオファーがあった際、リヒターはまずヨハンソンに連絡を取り、了承の確認をしたと言われている。
ヨハンソンについてリヒターは、「お互いに信頼を持っている間柄でした」と語っており、高いリスペクトを持っていたことがうかがえる。
「ヨハンはかなり真剣に取り組むアーティストという印象でした。音楽に限らず、文学や哲学にも造詣が深く、これらについて話すのはとてもすてきな経験でした。私の感覚としては、彼の音楽的センスは北欧のクラシック音楽を多く引き継いでいて、その文化が如実に音楽にも反映されていたと思います」
物静かでインタビュー中もあまり表情を変えないリヒター。しかし、ヨハンソンとの記憶をたどる彼の顔には微かな笑みがあり、その思い出がいかにすばらしいものだったかは想像に難くない。
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