清水尋也&大谷凜香に『映画大好きポンポさん』がくれた力「20歳の覚悟ができた」
「“20歳の覚悟”ができた」(清水&大谷)
――お二人のお話からも、一体感のあるいい現場だったことが伝わります。映画づくりに込められた愛や、情熱を描く物語となりますが、お二人が本作からもらった刺激や力などがあれば、教えてください。
清水「僕が本作のアフレコをやらせていただいたのが、20歳の時でした。20歳ってやっぱり、一つの節目になる年齢ですよね。いろいろなものを犠牲にしながら、映画づくりと向き合うジーンを見て改めて、僕は『この仕事をやるうえでは、自分のプライベートも捧げる必要がある。それでもやっていきたい』と実感することができました。“20歳の覚悟”という意味でも、本作との出会いはとても大きなものだったと思います」
大谷「私も清水くんと同い年で、20歳の年に本作のアフレコがあって。私にとっても、その出会いはかなり大きなものでした。私は、芸能のお仕事を中学生くらいから始めて。中学、高校生時代は、学生生活もお仕事もうまくバランスをとってやっていましたが、一方では『このお仕事だけで生きていく』という覚悟ができず、怖気付いていた部分がありました。でも、周囲から『無理だ』と笑われても、小さなころに見た女優という夢を諦めずに挑戦し続けているナタリーを見て、私のなかで怖気付いていたものが取っ払われた。『このお仕事で生きていくことを、自分の夢にしたい』と強く思ったんです。18、19歳は『どんな道に進むのか』とかなり悩んでいたのですが、20歳でこの作品と出会って、スッキリしたんです!」
清水「おお、すごい!転機だ!」
大谷「ね!ナタリーは失敗を繰り返しながら、女優の道を進んでいる。私もこの先、失敗もたくさんするだろうけれど、とにかく進み続けることが大事だなと思っています。清水くんは、その覚悟を中学生の時にできたんだから、本当にすごいと思う!」
清水「『失うものがなにもない』と感じていたからかもしれないなあ。今回改めて、このお仕事にはもっともっと突き詰めていくべきものがあるなと実感しましたし、声優さんのお芝居を肌で体感して、いつもは映画やドラマで芝居をしている僕たちも、負けていられないなと思った。本作から、ものすごく大きな力をもらいました」
「僕を、私を救ってくれた映画は…」(清水&大谷)
――観た後に、好きな映画について語りたくなるような作品でもあります。お二人にとって、「この時、この映画を観て救われたな」と思うような作品を教えてください。
清水「ジム・キャリーの『トゥルーマン・ショー』です。普通に生活していたつもりが、実はそのすべてがリアリティ番組として放送されていた…という物語なのですが、ちょうどいろいろと悩んでいる時にあの映画を観て、『自分の人生の主人公は、自分でしかないんだな』と思ったのを覚えています。なにを決めるにしても、自分の意志で決定するべき。もし誰かの意見に従って物事を決めて、それが失敗したとしたら、その人のせいしてしまうかもしれない。そういうことは、絶対にしたくない。選択を大事にして、やりたいことや進みたい方向を目で見て、しっかりと考えていきたいです。『自分の人生は、自分にしか背負うことはできないんだな』と感じています」
大谷「私は、『映画大好きポンポさん』です(笑)」
清水「あはは!いいね、それ。でも本当にそうだもんね」
大谷「そうなの!小学生のころとか、『将来の夢は?』と聞かれたりしますよね。いまの子どもたちはもしかしたら、触れられるものや情報が多すぎて、現実的な夢を答える子も多いのかもしれません。でもこの映画を観ると、純粋に夢を追いかけることのすばらしさを感じてもらえると思います。私がそうだったように、迷っている時に背中を押してくれる映画だとも思いますし、好きなことを突き詰めようとすることが、どれほど人生を豊かにすることなのかを実感できる。大好きな映画です」
取材・文/成田おり枝