人間と動物の交流がユニーク!『パディントン』『ベイブ』まで、名作児童文学の映画化まとめ
人間と動物の交流や、その関係性を描く児童文学を映画化した作品が、立て続けに公開中だ。動物たちが真っ直ぐに向き合う姿を、スクリーン越しにでも愛さずにいられない!その純真さには、ある種、憧憬を覚えるほど。そんな動物が活躍する映画をいまとめ
『でっかくなっちゃった赤い子犬 僕はクリフォード』(公開中)は、アメリカの児童文学作家ノーマン・ブリッドウェルの名作絵本「クリフォード おおきなおおきなあかいいぬ」の実写映画化。不思議なおじいさんから赤い子犬を預かった少女エミリーは、“愛情の分だけ大きくなる”と教えられる。クリフォードと名付け、可愛がると…翌朝起きたらクリフォードが家に収まらないほどのサイズに!すると、ある目的でクリフォードを拉致しようとする人間が現れたりと、難局続き。“自分が小さくなれば一緒に居られるのに”と目をウルウルさせる、でっかいクリフォードが愛おしくて、胸が痛くなる。
『シチリアを征服したクマ王国の物語』(公開中)は、20世紀イタリア文学を代表するディーノ・ブッツァーティによる童話を、イラストレーターかつバンデシネ作家としても知られるロレンツォ・マトッティ監督がアニメーション映画化。紙細工のようにも見える2D ならではのグラフィカルな映像は、フランスのル・モンド紙が「詩を込めた華やかな色のグラフィック・ジュエル」と褒め称えたほど魅力的だ。
シチリアの古代の山奥で平和に暮らしていたクマの王レオンスは、息子のために人間からの攻撃に仕方なく応戦したことをきっかけに、“解放者”としてシチリアの王に迎えられ、人間とクマが共存する国を治め始める。誰よりも勇敢で公平だったレオンスだが、側近らの進言で少しずつ目が曇り始める。また、必要な分だけ狩りをして生きてきたクマたちが、クマらしさを失ったとき…。人間と動物を対峙・対比させ、そして共生を試みさせながら、破綻に至るまでを描くことで、普遍的なメッセージが浮かび上がる。深い余韻と共にそれを噛みしめたい。
同じクマでもすっかり人間社会に馴染んでいるのが、『パディントン』(14)、そして『パディントン2』(17)。マイケル・ボンドの児童文学『くまのパディントン』の実写映画化と、その続編だ。南米ペルーからやって来たクマのパディントンが、親切なブラウン一家と出会い、やがて人と人を繋ぐ街の人気者になっていく。とはいえ、もちろんパディントンは“人間のように裏を読まない、真っ直ぐさ”を持ち続けるがゆえに、数々の騒動を巻き起こす。それでも最後は、なぜか人々に幸せをもたらして、大団円のようにまるっと解決を収めてしまう。その活躍に快哉すると共に、パディントンを通して「善」や「優しさ」や「幸せ」を考えさせてくれる、ハッピーでご機嫌なファンタジーだ。