デビュー作で1人2役に挑戦!初主演作に見る、俳優・Koki,のポテンシャルは?
『犬鳴村』(20)、『樹海村』(21)に続いてホラー映画の鬼才、清水崇監督が放つ「恐怖の村」シリーズの第3弾『牛首村』(公開中)。北陸地方出身者なら誰もが知る最恐の心霊スポット「坪野鉱泉」(富山県魚津市)、「牛首トンネル」(富山県小矢部市桜町と石川県川北郡津幡町牛首を繋ぐトンネル)が舞台の本作は、もっとも怖い都市伝説とも言われる“ウシノクビ”などをモチーフに生々しい恐怖を描いたものだが、話題を集めているのはそれだけではない。恐怖に身を投じていく主人公の雨宮奏音と彼女の失踪した双子の妹・三澄詩音を、モデルのKoki,が映画初出演&初主演にして1人2役で熱演し、脚光を浴びているのだ。そこで本コラムでは実際に作品を鑑賞した率直な感想から、彼女の俳優としてのポンシャルを検証していきたい。
個性派キャスト陣が揃った『牛首村』
東京で暮らす女子高生の奏音は、ある日、心霊動画に映る自分にそっくりの女子高生を見て驚愕する。だが、牛首マスクを無理矢理被せられた彼女が廃墟に閉じ込められたところで映像は途切れてしまう。あの女子高生はいったい誰なのか?胸騒ぎと言い知れぬ恐怖を覚えた奏音は、何者かに導かれるように動画が撮られた坪野鉱泉へと向かう。そして、「牛首村」と呼ばれる村のおぞましい秘密の風習に戦慄するのだった。
奏音の父親をお笑いコンビ「ココリコ」の田中直樹が演じ、奏音に密かに想いを寄せ、彼女と一緒に坪野鉱泉に向かうクラスメイトの香月蓮役でドラマ「3年A組 ―今から皆さんは、人質です―」などの若手俳優、萩原利久が出演。さらに、「仮面ライダーゼロワン」の主人公、飛電或人役で注目された高橋文哉、『ソワレ』(20)で村上虹郎とのW主演を果たした芋生悠、「SP」シリーズなどの松尾諭、舞踏集団「大駱駝艦」の主宰でもある個性派俳優の麿赤兒らが脇を固めている。
モデル活動で得た、ストイックさを武器に挑戦
2018年5月、15歳の時に雑誌「エル・ジャポン」のカバーでモデルデビューした彼女は、以後、国内外のファッション誌のカバーやラグジュアリーブランドのアンバサダー、CM出演などを務め、2019年5月にはパリでランウェイデビュー。異例の早さでモデルのキャリアを積み重ね、中島美嘉や三浦大知、工藤静香に楽曲を提供するなど音楽の分野でも才能を発揮している。Koki,が演技に挑戦するのは時間の問題だったのかもしれない。
清水監督も芝居経験がない人と組むのは初めてということもあり、やはり不安な気持ちはあったそうで、本作の完成報告会見でも「撮影が始まった頃は、Koki,の芝居が硬かった」と正直な気持ちを告白。その一方で、現場に入る前に厳しい演技指導を受けた彼女について、「呑み込みが早くて、ストイックさも感じられたので、この人とタッグを組むのはおもしろそうだなと思いました」と述懐していた。