ペンギンにキャットウーマン、リドラー!『THE BATMAN-ザ・バットマン-』ヴィランの変遷をたどる
ネコのようなしなやかさで敵を翻弄する“キャットウーマン”
キャットウーマンがコミックスに初登場したのは1940年。歴史が長いキャットウーマンもこれまでいくつかのオリジンが語られてきたが、ここでは最もメジャーなものを紹介したい。
キャットウーマンことセリーナ・カイルは、ゴッサム・シティで孤児となり、養護施設で育った。しかし、そこで度重なる虐待を受けたセリーナは、施設を抜け出しゴッサムの危険地帯で生きる道を選ぶ。裏通りで道場を営む人物から武術を習い、元ヘビー級チャンピオンだったボクサーからボクシングの技術を習得した彼女は、類い稀なる身体能力を活かして怪盗として身を立てながら、盗んだ金は貧困にあえぐ住民たちへ配っていた。セリーナもまた、アスリート並みの身体能力を持つが、特殊能力のない普通の人間である。
ある時、コウモリの衣装を身に着け、ゴッサムの“悪”を取り締まるバットマンの姿を目撃したセリーナは、彼からヒントを得て壁を登り、攻撃に使える爪を仕込んだグローブ、ジャンプ能力を補助するブーツ、尻尾にも見える攻撃や移動用に使うムチを備えたネコを模したスーツを着用し、キャットウーマンとして活動を開始。バットマンとは当初敵対していたが、利害が一致し共闘する関係から、徐々に惹かれ合い恋愛関係にまで発展していく。ヴィランからヒロイン的な立ち位置へと変化していった、バットマン関連作の登場人物のなかでも高い人気を誇るキャラクターだ。
実写作品では、ペンギンと同じく『バットマン リターンズ』でミシェル・ファイファーが演じたキャットウーマンを思い浮かべるファンが多いはず。劇中ではゴッサムの実業家マックス・シュレックの秘書として登場するが、マックスのゴッサム支配計画を知ってしまい口封じとしてビルから突き落とされてしまう。瀕死の状態のなか、集まった野良ネコたちの不思議な力によって生き延び、ツギハギが特徴のキャットウーマンの衣装を制作し、マックスへの復讐を果たそうとする。そこでバットマンと出会い、惹かれ合う姿が描かれる。
その後、ハル・ベリー主演の単独映画『キャットウーマン』(03)も製作。グラフィックデザイナーの主人公が、彼女が務める化粧品会社の若返りクリームに関する秘密を知ったために殺されてしまう。しかし、エジプトの猫神の力で復活し、猫のような超能力を駆使して化粧品会社の陰謀を阻止しようとする。
『ダークナイト ライジング』では、アン・ハサウェイが“ネコ”の異名を持つ宝石泥棒に扮している。暗視装置がネコの耳のように見えるビジュアルから、メディアからキャットウーマンと呼ばれているという描写があり、ゴッサム・シティの危機にバットマンと協力して立ち上がった。
『THE BATMAN-ザ・バットマン-』には、ゾーイ・クラヴィッツが演じるキャットウーマンが登場。早くに親を亡くして孤児として育ち、スラム街のアパートで多数のネコと暮らしている。ある目的のためにアイスバーグ・ラウンジに潜入していたが、そこで知り合った友人のアニカを救うため、バットマンの調査に協力する。