【第94回アカデミー賞】ウィル・スミスが『ドリームプラン』で主演男優賞を初受賞し、涙のロングスピーチ
アメリカの現地時間3月27日(日本時間3月28日)にロサンゼルスのドルビー・シアターで開催中の第94回アカデミー賞授賞式。主演男優賞に輝いたのは、『ドリームプラン』のウィル・スミスで、『ALI アリ』(01)、『幸せの力』(06)以来15年ぶり3度目のノミネートにして、初のアカデミー賞を手にした。
『ドリームプラン』は、世界最強のテニスプレーヤーとも称されるビーナス&セリーナ・ウィリアムズ姉妹を、テニス未経験の父リチャードが、「計画書=ドリームプラン」によって、テニスのワールドチャンピオンに導いたという実話の映画化作品。破天荒ながらも家族想いのリチャード役で魂のこもった熱演を魅せたウィル・スミスは、本作のプロデューサーも兼任している。
スミスは「ありがとうございました」と感無量の様子で「リチャード・ウィリアムズは本当に強く家族を守った男です。人生の今、この瞬間、私は圧倒されています。神様が私に求めていることに、圧倒されてます」としみじみ語る。
実はクリス・ロックから、妻ジェイダの脱毛症をジョークのネタにされた彼が、ステージ上に挙がっていき、ロックをビンタするという事件が起こったのだが「自分は川のような存在にならないといけない。自分の悪口を言われても、ビジネスのなかで、自分が軽蔑されることに慣れないといけない。でも、『悪魔の誘惑に負けるな』とデンゼル(・ワシントン)からも言われたこともあって。ただ、自分は愛情のための船のような存在になりたい」とコメント。
続いて「僕はアカデミー賞に、ほかの候補者の皆さんに謝罪をしなければいけません。僕は受賞したから涙を流しているわけではありません。いま、人々に光を差すことができます。キャストやスタッフ、全員に光を差すことができてうれしいです」と泣きながら喜びを口にした。
「これはテニスの映画ではない。家族の映画であり、信仰心や愛情、勝利、そして叶わないような夢を描く映画だ。ビーナスとセリーナのようなことは滅多に起こるものではない。それでも最高の自分になりたいという思いと、強い精神力があれば逆境を乗り越えることができる。これはすべての人々に贈る夢の実現の物語なんだ」と公開時のインタビューでも語っていた。
ウィル・スミスはすでに、第79回ゴールデン・グローブ賞(ドラマ部門)や、第75回英国アカデミー賞(BAFTA)、第28回SAGアワード(全米映画俳優組合賞)などでも主演男優賞を受賞している。『ALI アリ』や『幸せの力』に続く、実在の人物役だが、3度目の正直で念願の受賞を果たした。
取材・文/山崎伸子