“90年代”東京のアンダーグラウンドに迷い込む…ハリウッド共同制作ドラマ「TOKYO VICE」に通じるディープな邦画たち

コラム

“90年代”東京のアンダーグラウンドに迷い込む…ハリウッド共同制作ドラマ「TOKYO VICE」に通じるディープな邦画たち

映画やテレビドラマに撮影可能なロケ地の情報を提供し、案内、調整も行う組織「東京ロケーションボックス」は、映像作品を通して東京の魅力を国内外に発信しながら、ロケ撮影で地域活性化を図ることを目的としている。実際に東京ロケーションボックスから制作のサポートを受けた作品として、WOWOWとHBO Maxの日米共同制作によるオリジナルドラマ「TOKYO VICE」(4月24日WOWOWにて独占放送スタート)をピックアップ。

ジェイクは敏腕刑事の片桐と組んで危険なネタに踏み込んでいく
ジェイクは敏腕刑事の片桐と組んで危険なネタに踏み込んでいく[c]HBO Max / James Lisle

第1話の監督を『ヒート』(96)、『マイアミ・バイス』(06)などで知られるマイケル・マンが手掛け、全話のエグゼクティブ・プロデューサーとしても参加した。『ベイビー・ドライバー』(17)、『ウエスト・サイド・ストーリー』(21)のアンセル・エルゴートが主演、日本から渡辺謙菊地凛子伊藤英明笠松将山下智久らが参加した本作は、金と欲望が渦巻く1990年代の東京のアンダーグラウンドを舞台にしたスリリングなクライム・サスペンス。一般人が知ることのなかった、東京の裏の顔がエルゴート演じる新聞記者ジェイクの視点であぶりだされ、一方では、日本のヤクザや刑事たちに急接近していく彼の記者としての成長物語としても楽しめる。

1990年代はどんな年代だったのか?経験した人々にとって懐かしい時代であり、若い世代にとっては近いけど遠く感じる時代だろう。そこで本稿では、「TOKYO VICE」がリアルに再現した90年代の東京を、同じく90年代の東京を舞台にした日本映画と重ねながら紹介していきたい。

まさにアンダーグラウンド!エロスとアドレナリンが渦巻く夜の繁華街

1990年代の東京。アメリカ人の青年ジェイクは東京の大学を卒業すると、難関な試験を突破して日本の大手新聞社に就職する。警察担当記者になった彼は特ダネを追いかけ、ヤクザ絡みの凶悪事件を手練で解決している刑事の片桐(渡辺)と出会ったことから、危険な闇社会へと入り込んでいく。

ネオンがきらめく東京の繁華街を練り歩くアンセル・エルゴート演じるジェイクと伊藤英明扮する刑事の宮本
ネオンがきらめく東京の繁華街を練り歩くアンセル・エルゴート演じるジェイクと伊藤英明扮する刑事の宮本[c]HBO Max / Eros Hoagland


ジェイクはヤクザの世界に足を踏み入れ、風俗街で暗躍する型破りなもう一人の刑事、宮本(伊藤)に近づいたことで、煌びやかな夜の新宿・歌舞伎町の熱気とエロスを全身で浴びていく。そんな歌舞伎町の雰囲気を味わいたいなら、Netflixのオリジナルドラマ「全裸監督」シーズン2を観るのが一番手っ取り早いだろう。シーズン2はバブルが崩壊した90年代を舞台に、伝説のアダルトビデオ監督、村西とおるの失墜を描いているが、当時の情景を伝えるために、歌舞伎町にいまも残る風鈴会館の外観とその前の路地、新宿の東口と西口を繋ぐ地下道でのロケーション撮影を敢行。地下道の向こう側に見える映画の看板も実際の90年代のものにCGで作り替えていて、まるでその時代にタイムスリップしたような気分にさせてくれる。

1990年代の風景を再現するため、「全裸監督 シーズン2」は新宿でロケーション撮影を敢行
1990年代の風景を再現するため、「全裸監督 シーズン2」は新宿でロケーション撮影を敢行「全裸監督 シーズン2」Netflixにて全世界独占配信中

夜の歌舞伎町をもっと視覚的に捉えたいなら、日本とチャイニーズ・マフィアの抗争を描いた三池崇史監督の『新宿黒社会 チャイナ・マフィア戦争』(95)もオススメだ。冒頭から歌舞伎町の極彩色のネオンとハイビーム、ドギツイ看板と汚い路地裏が目に焼きつき、アドレナリンが一気に噴出するはずだ。


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