【連載】「MINAMOの話をきいてミナモ?」 第2回 “モテ”について考えて気づいたこと

コラム

【連載】「MINAMOの話をきいてミナモ?」 第2回 “モテ”について考えて気づいたこと

距離の詰め方やアメとムチの与え方が絶妙に上手いハギオ

撮影/SAEKA SHIMADA ヘアメイク/上野知香

南瓜とマヨネーズ』のハギオ(オダギリジョー)はまさにその"どうしても憎めないクズ”の典型とも言えるだろう。売れないバンドマンのせいいち(太賀)を支える主人公のツチダ(臼田あさみ)。その2人の同棲生活はツチダがせいいちに黙って売春で稼ぎ出してから徐々に崩れていってしまう。そして元カレであるハギオと出会い、ツチダの心は揺れてしまう。

さて、この元カレ・ハギオだが、まず久しぶりに会ったツチダに声をかけられるまで気づかない。ぶっきらぼうでずうずうしい。「私どんな女だった?」と聞かれ、「なんも覚えてない、俺そんな好きじゃなかった」などと平気で言うクズである。だが距離の詰め方やアメとムチの与え方が絶妙に上手い。

 『南瓜とマヨネーズ』 Blu-ray&DVD発売中 発売・販売:SDP
『南瓜とマヨネーズ』 Blu-ray&DVD発売中 発売・販売:SDP[c]魚喃キリコ/祥伝社・2017『南瓜とマヨネーズ』製作委員会

「ああ、この人は自分などまるっきり見てはいないのだ」と傷ついた経験はあるだろうか。求めても求めても振り向いてもらえない、だからさらに求めてしまう。それもまた沼である。


ここまで引き合いに出してきた映画のキャラクターたちは、あくまで参考である。自分なりにモテるキャラクターを挙げてみたが、皆共通して言えることは、相手に余計なことを聞かない、だから自分に興味がないのだろうかと常に不安を覚えて心を離さない。さらに、予期せぬ言動、危なっかしいところなどなど。そうしてこのキャラクターたちに惹きつけられ、この人の目に自分が映りたい、この人に好かれたい、自分一人のものにできないものかと思うのだ。だが世間一般的にモテるこのキャラクターたちに幸せが訪れたかと言うと、そうとは言い切れない。

「モテたい」というのは大半が愛されたいという感情

撮影/SAEKA SHIMADA ヘアメイク/上野知香 撮影協力/シネマ・ジャック&ベティ

まだ“モテ”というテーマの答えは出ていない。そもそも答えなどあるのかというのが率直な意見である。世にはびこっている「モテたい」というのは大半が愛されたいという感情なのだと思う。もちろんそれは間違いではない。私も確かに愛されたかった。たくさん考えた結果、現在の私の脳みそは「好かれる力、愛される力よりも自己を愛する力が大事なんじゃないか」と言っている。今の私は、自身を愛し、他人を愛し、なんだか満足である。一通りモテについて考えたが、考えている間にモテの概念はもはや閉じた雑誌の中にある。

10歳の頃キラキラしていたあの子たちに密かに憧れを抱いていた私、そしてその先モテを引きずった私に今なら他人の目よりも先に自分を愛してやってと言ってあげたい。

■MINAMO プロフィール
京都府出身。2021年6月にSOFT ON DEMANDよりAV女優としてデビュー。趣味は映画&レコード鑑賞、読書。
YouTubeにて「MINAMOジャンクション」を配信中。
Twitter:@M_I_N_A_M_O_
Instaglam:minamo_j


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