【連載】「MINAMOの話をきいてミナモ?」 第4回 美とコンプレックス
「欠点も美しいよ」と他人が言ってはいけない
コンプレックスにより傷つき、涙する全ての人へ一読して欲しい本が2冊ある。
まず、「真夜中乙女戦争」で知られるFさんの「20代で得た知見」。なるほどな!と納得させられることもあれば、梅をかじった時のしょっぱい顔をしながら何言ってんだおっさん、となることもある。取ってこい、とボールをえらく遠いところに投げられた感覚になったと思えば、すぐそばで手を握ってくれているようなあったかい感覚にもなる。何とも不思議な本である。私のお気に入りは第4章「二十代に自信はいらない」である。その中にある、“何やら自信満々な人間に憧れなくてよい。今光っているもの、眩しいものには憧れなくてよい。嫉妬しなくてよい。本日の流行なんて、来月は誰も覚えていません。”という文には、「本当にそのとおりでございます」としか言いようがなかった。
次に韓国の作家キム・スヒョンさんによる「私は私のままで生きることにした」。読んだ次の日、外に出てみれば世界が変わって見えるなんて魔法はかかっていないが、確実に自分の足で立って生きていく上で大事なエッセンスは振りかけられている。エッセイは読めるのに、自己啓発本と聞くとなんだか一歩引いてしまう私だが、この本は自己啓発本というよりも、「自分を大切にする」ということがどれだけ重要かを教えてくれるきちんと言語化されたヒーリングエッセイであった。自分を愛しなさい、大切にしなさいと沢山の大人に言われるも、「私のことは私が決めるから私以外の人間は口出ししてくるんじゃないざます」と全ての意見を跳ね除けた10代の私に、この本をそっと無言で渡したかった。
「コンプレックスも愛そう」というスローガンについて、「欠点も美しいよ」と他人が言ってはいけないものだと私は思う。他人が勝手に”欠点”と決めてはいけないのである。人間誰しも個別の美的感覚というものを持っている。美的感覚というものは生きていくなかで造られるもので、コンプレックスと表裏一体のモノである。だからくっついて離れない、捨てることなんてそうそうできないのだ。美的感覚がある限りコンプレックスも生まれてしまうのではないか、というのが私の考えである。
京都府出身。2021年6月にSOFT ON DEMANDよりAV女優としてデビュー。趣味は映画&レコード鑑賞、読書。
YouTubeにて「MINAMOジャンクション」を配信中。
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