hideと親交のあった音楽ライター・大島暁美が語る『TELL ME ~hideと見た景色~』…「hideさんはきっと感謝していると思う」
「伝記ではないし音楽映画とも違う。ひとつのドラマとして観てほしい」
人間的な魅力はもちろん、hideはアーティストとしても多くの作品を遺した。その音楽性とファッションセンス、クリエイティビティの高さはいまも評価され続け、新たなファンを生み出し生前のhideを知らないZ世代のファンも増えている。「hideさんは常にあらゆる方面にアンテナを張っていた」と大島は続ける。
「パソコンは結構早くから取り入れていましたね。『これからはパソコンの時代だ』と言って、最初は全部自分でやろうとしていて。わからないことがあるたびにI.N.A.さんが呼び出されて、でも教えている途中でhideさんが寝てしまうということがよくあったそうです。ファッションに関しても、私が最初に会ったころはステージでインドのサリーを着ていて、額にビンディを付けて髪には小さな三つ編みを付けていました」。ファッションセンスは美容室を営んでいたhideの祖母ゆずりで、祖母は映画でもキーパーソンとして登場する。
また劇中にはhideの大好物だったという母親お手製の餃子が登場するシーンがあり、大島にも懐かしい光景として映ったよう。「お母さまの餃子はファンの方の間でも有名で、私も初めて食べた時は感激しました。『これがhideさんの言っていた餃子だ!』って。量が多いのはもちろん、1個1個もすごく大きくて。すごくおいしくていくらでも食べちゃうので、hideさんが子どものころ太っていた理由がわかります(笑)」。
これまで数多くのhideに関する著書を出版してきた大島は、『TELL ME ~hideと見た景色~』について、「hideさんの映画ではあるけど、伝記ではないし音楽映画とも違う。ひとつのドラマとして観てほしい」と話す。「hideさんの映画だからと肩ひじ張らずに、普通の映画を観に行く感覚で観てもらいたいですね。そしてそこに描かれている友情とか家族愛を感じながら、hideさんの音楽のすばらしさも感じてもらえたらいいなと思います」と話す。
この映画を、hideの音楽をもっと知りたいと思うきっかけにしてほしい。最後に、大島に思い出のエピソードを語ってもらった。
「基本的に寂しがり屋で、飲み会が終わりそうになると『もう一軒行くっしょ!』が彼の口癖でした。よほどのことがない限り、自分から『お開きにしよう』とは言わないんです。その理由を、『自分がいないところで、おもしろいことが起こったら悔しいから』と本人は言っていました。お酒を飲んでる間でも、アンテナを張って楽しいことを探している姿から、hideさんの好奇心旺盛なポリシーが感じられて、『すごいね』って一緒に飲んでたみんなで話してたのをよく覚えてます」。
取材・文/榑林史章
ラジオ・テレビのレポーターを経て、フリーランスのライターに転身。1980年代から日本のロックを中心に数多くの記事を執筆する一方、少女小説、漫画の原作、バンドやイベントのプロデュースも手掛ける。おもな著書に「泣きたいくらいに抱きしめて」(講談社ティーンズハート)、「大島暁美のロックンロール日記」シリーズ(音楽専科社)、「Never ending dream-hide history」(KADOKAWA)などがある。猫好きが高じて、猫イベント「にゃんだらけ」を主催している。「にゃんだらけin名古屋」2022年7月23日(土)・24日(日)、「にゃんだらけ13」(浅草)2022年9月3日(土)・4日(日)開催予定。
大島暁美オフィシャルサイト:https://akemioshima.com/
にゃんだらけオフィシャルサイト:https://nyandarake.tokyo/
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