次回作は「また別次元の作品に」。原泰久&佐藤信介監督が語る、山崎賢人の“信らしさ”と「キングダム」の未来
中国春秋戦国時代を舞台に、天下の大将軍になるという夢を抱く戦災孤児の少年、信(山崎賢人)と、中華統一を目指す若き王でのちの秦の始皇帝、嬴政(えいせい・吉沢亮)らの挑戦と冒険を壮大なスケールで描き、累計発行部数9000万部を超える原泰久の大ヒット漫画を実写映画化した『キングダム』(19)。信の初陣であり、秦国と隣国・魏との戦いをメインとした続編『キングダム2 遥かなる大地へ』が公開中だ。信はもちろん、哀しみの一族として生まれた羌瘣(きょうかい・清野菜名)をはじめとする、個性豊かなキャラクター勢が繰り広げるドラマとアクションが、観客を魅了している。そこでMOVIE WALKER PRESSでは、原作者の原と佐藤信介監督にインタビュー。2人が「信そのもの」と太鼓判を押す、座長・山崎賢人の“信らしさ”、実写版の今後の展望までを大いに語り合ってもらった。
「コロナ禍の撮影も、『キングダム』という作品自体が原動力になった」(佐藤監督)
――前作の公開から3年。熱く、ドラマチックな続編が完成しました。原先生は、完成作をご覧になってどのような感想を抱かれましたか?
原「本当におもしろかったです。あまり客観的に観られないのではないかと感じていた部分もあったんですが、いざ映画が始まってみるとハラハラし通しでした。感動して、途中からはずっと泣いていましたね。羌瘣のドラマが進むにつれてグッと込みあげてくるものがあって、後半はもう、羌瘣が出てくるだけで泣いていました(笑)。僕はもともと合戦映画が好きなので、実写として見られてうれしかったのは、やはり戦場のシーンです。戦いの舞台となる蛇甘平原(だかんへいげん)がスクリーン中に広がって、そこを信たちが走り回り、さらに戦車隊まで出てくる。実は戦車については、僕はとても気になっていて。実写でやるのは難しいだろうなと思っていたんです。プロデューサーさんには『騎馬戦でもいいですよ』とお話をしたんですが、『いや、戦車を作って走らせます』とお返事をいただきまして。びっくりしました」
――佐藤監督は、前作の舞台挨拶の場で「“蛇甘平原の戦い”を描きたい」とお話しされていました。本作でその夢が叶ったかたちとなりますが、コロナ禍での制作には想像以上の苦労があったのではないでしょうか。
佐藤「今回感じた苦労というのは、前作とはケタ違いのものでした。僕はわりとポジティブなほうなんですが、さすがの僕でも『これは前に進めないんじゃないか』と思った時もあったぐらいです。コロナ禍での制作は、それくらい特殊な状況でした。我々の携わるエンタテインメントは、不要不急なものだと言われることもありましたが、家にじっとこもっていると、映像を観て心が晴れることもあるものですよね。そうすると『誰かが撮らなければ、新しい映像を観ることはできないんだ』という使命感も湧きあがってきて。もちろん感染対策に気をつけながら『頑張って前へ進んで行こう』と臨んできたので、こうして公開を迎えることができて特別な感慨があります」
――使命感と共に、原動力となったものはありますか?
佐藤「『キングダム』という作品自体が、大きな原動力となりました。家でも脚本を読み込んで、どのような映像にしていこうかとプランを練っている時、信たちの力強い言葉をずっと思い浮かべているわけです。この作品のなかでは、みんながボロボロになりながらも一丸となって、前へ進もうとしている。そういった姿から、たくさん背中を押されました」
――本作のキャラクターから力をもらっている人はたくさんいると感じます。発売中の65巻まで熱い展開が続いていますが、原先生ご自身の原動力となっているのはどのようなものでしょうか。
原「『もうここまで来たら描ききるぞ!』という気持ちですね(笑)。途中で倒れないように、描ききろうと。実は漫画を描くために自分なりの年表を作っていて、結末も決まっています。僕は、その結末までを2時間の映画として捉えていて。おもしろい映画って、後半に行けば行くほど、盛り上がるものですよね。ですからいまは『どんどん助走がついているぞ!』と自分を奮い立たせています。『ここから先はもっとおもしろくなるぞ』という自己暗示が、原動力です(笑)」