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「鎌倉殿の13人」前半戦を彩った、頼朝、義経、上総広常ら“生き様”が魅力的な英傑たち

コラム

「鎌倉殿の13人」前半戦を彩った、頼朝、義経、上総広常ら“生き様”が魅力的な英傑たち

天と人に愛された一方で、残酷な決断も下してきた源頼朝

大泉洋演じる源頼朝は初登場時から、人たらしのイメージがあった。どことなく、キュートで憎めない。迷いながらも北条ら坂東武者をまとめる政治的手腕には、「この人についていきたい」と思わせるものがあった。一方で、実際には女たらしというか、女グセの悪さで周囲に混乱を巻き起こすことも。気に入った女性がいればすぐに手を出し、妻である政子を怒らせてばかり。それでも、政子から頼朝の愛が色褪せたようには思えなかった。最期まで、政子は頼朝を愛していた。

しかし、平家を滅ぼし、武士の頂点に立ったあとも、他人を信じられない頼朝の猜疑心は深まるばかり。出る杭を打つ、ではないが、自身を脅かす存在は、たとえ身内であっても次から次へと抹殺していった。そんな頼朝も最後は己の死期を悟ったのか、後継の頼家を支えてほしいと、義時と政子に伝え、そのあとすぐに意識を失い、危篤状態になってしまう。政子らによる献身的な看病にもかかわらず、静かにこと切れた頼朝。彼の死はあまりにも大きく、御家人らによる激しい権力争いを巻き起こすことになってしまう。

登場人物を最大限に魅力的に描いた脚本というのはもちろんだが、それを演じる俳優たちのキャスティングがすばらしい。広常は佐藤にしか演じられなかっただろうし、あれだけひどいことをしても大泉演じる頼朝は憎みきれない。放送直後にはよく「#全部大泉のせい」というタグがTwitterトレンドを賑わせていたが、それだけ視聴者の心に強く残る頼朝像だったのだろう。

比企能員との交渉にも動く義時(第30話「全成の確率」)
比企能員との交渉にも動く義時(第30話「全成の確率」)

後半戦に入った「鎌倉殿の13人」はますますヒートアップ。より強い権力を握ろうと義時の父、北条時政(坂東彌十郎)と比企能員(佐藤二朗)の対立は激化し、年若い頼家を支えるために「十三人の合議制」が構成されるが、当の頼家はこれに反発する。そのなかで、頼朝に忠義を尽くしてきた梶原景時(中村獅童)が頼家によって罷免され、物語から退場することに…。今後、いかにして義時は鎌倉幕府における北条の権勢を固めていくのか?相変わらずのハイテンポな展開からはますます目が離せない!

文/ふくだりょうこ

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