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「鎌倉殿の13人」前半戦を彩った、頼朝、義経、上総広常ら“生き様”が魅力的な英傑たち

コラム

「鎌倉殿の13人」前半戦を彩った、頼朝、義経、上総広常ら“生き様”が魅力的な英傑たち

戦の世でしか生きられない…純粋すぎる軍神、源義経

「こんな義経を見たことがない!」と話題になっていたのが菅田将暉演じる源義経である。戦の天才だが、それ以外のことに関しては不器用。裏で悪いことをしようとしても詰めが甘くて露呈するタイプだ。戦場では水を得た魚のようにイキイキとしていたが、平家との戦いに終わりが見えてくるとその表情に陰りが見えてくる。戦がない世で、自分はどのように生きたらいいのか。そしてなにより、兄である頼朝のために戦っていたのに彼に会えない。それどころか、頼朝は自分を殺そうとしているのだ。

頼朝と決別し、縁のある奥州藤原氏のもとで身を隠す義経。しかし、鎌倉からの圧力に屈した藤原勢による襲撃を受け、追い詰められてしまう。それでも、孤軍奮闘して敵兵をくい止める武蔵坊弁慶(佳久創)の雄姿に興奮し、最期を見届けに来た義時に鎌倉攻略の策を嬉々として語るなど、飄々とした様子で最後まで視聴者を楽しませてくれた。無垢で、人を信じやすかった戦の鬼。字面を見るだけで、いいように利用されやすいのでは、と想像できてしまう。もし義経に信頼できるブレーンがいたら、歴史は変わっていたかもしれない。

我が子を失う悲しみを抱えながらも、慈しみを与え続けた八重

義時の最初の妻であり、物語開始時点から彼が一途に想いを寄せてきたのが、新垣結衣演じる八重だ。流人だった頼朝を預かった伊東祐親(浅野和之)の娘で、第1話「大いなる小競り合い」から頼朝との子である千鶴丸(太田恵晴)を祐親の命によって殺されてしまうなど、八重は決して幸せとは言えない人生を歩んでいく。

そんな八重を救ったのは義時の頑なな想いだったはず。伊豆で暮らす八重のもとへ、「女子はきのこが好き」という思い込みから大量のきのこを持っていったり、魚を持っていったり。気がついたら義時が見ている…などというストーカーの一歩手前のような行動で引かせることもあるが、そんななかで少しずつ、八重の心はほどけていく。

やがて夫婦になった義時と八重のシーンはどれも心温まるものばかりだった。頼朝に振り回され、傷ついた心を八重が励まし、支えた。八重はとても献身的な妻だった。そして、かつて我が子を殺された自身の心を救済するかのように、戦で孤児になった子どもたちの面倒を見るようになる。晩年の八重は愛を与え続ける女性だった。

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