R18+で若者のリアルを描く…刺激的な“R指定”青春映画の世界
『レディ・バード』(17)や『ミッドサマー』(19)など数々の話題作を世に送り出してきた気鋭スタジオA24の最新作『Zola ゾラ』が8月26日(金)より公開される。2015年にTwitterに投稿され大きな話題を集めた“148のツイート”を映画化した本作は、ウェイトレス兼ストリッパーのゾラとダンサーのステファニ、自由奔放な2人の女性がたどる“悪夢の48時間”を描くSNS時代の青春ロードムービーだ。
日本公開にあたって行われた映倫の審査では、R18+(18歳未満鑑賞不可)に指定された本作。青春映画×R指定の組み合わせといえば、1990年代から現代に至るまで多くの若者を魅了する傑作が次々と世に放たれてきた。そこで本稿では、その系譜に新たに加わる『Zola ゾラ』の公開に合わせ、一度観たら心から離れない登場人物たちを刺激的に描きだした、“R指定”青春映画の傑作を紹介していこう。
8か月のロングラン!伝説となった『トレインスポッティング』
まずは、のちに『スラムドッグ$ミリオネア』(08)でアカデミー賞を席巻したイギリスの鬼才ダニー・ボイル監督の出世作となったR15+(15歳未満鑑賞不可)映画『トレインスポッティング』(96)だ。
ユアン・マクレガー演じる主人公のマーク・レントンは、平凡な人生を送るのが嫌で仲間たちと自堕落な生活を送っていた。喧嘩が趣味のベグビー、女たらしで「007」オタクのシックボーイ、気のいい小心者のスパッド。彼らの友情が崩壊の運命をたどる絶望感のなか、レントンは人生を変える大きな賭けに出る。
2016年に閉館した渋谷のミニシアター「シネマライズ」で公開された当時、約8か月にも及ぶロングランを記録。ミニシアターブームを象徴する一本として多くの若者を熱狂させた伝説は、いまなお語りぐさになっている。2017年には主人公たちの20年後を描いた続編『T2 トレインスポッティング』(17)も公開。そちらもあわせてチェックしてほしい。
上映禁止運動も起きた超問題作『KIDS』
1990年代から2000年代にかけて、あまりにも刺激的な青春映画を次々と発表してきたラリー・クラーク監督の長編デビュー作『KIDS』(95)も、R指定の青春映画を語る上で欠かせない一本。
当時のニューヨークのストリートキッズたちを描き、アメリカでの公開時には上映禁止運動が起こるなど大きな物議を醸した問題作。脚本を手掛けたのは、当時19歳だったハーモニー・コリン。主人公の少年たちを演じたのは実際にストリートで見つけ出されたキッズたちと、あらゆるリアルを織り込みながらドキュメンタリータッチで描かれていく。当時のニューヨークカルチャーの裏側を目撃することができよう。