田村睦心は「目立ちたいタイプで応援団長だった」『雨を告げる漂流団地』完成披露で、瀬戸麻沙美&村瀬歩と小6時代を告白!
『ペンギン・ハイウェイ』(18)、『泣きたい私は猫をかぶる』(20)を生みだした新鋭スタジオ「スタジオコロリド」が手掛ける長編アニメ映画第3弾『雨を告げる漂流団地』(9月16日より公開&Netflixにて全世界独占配信)。完成披露試写会が8月5日にグランドシネマサンシャイン池袋で開催され、田村睦心(航祐役)、瀬戸麻沙美(夏芽役)、村瀬歩(のっぽ役)、石田祐康監督が登壇した。
本作は、小学6年生の幼馴染、航祐と夏芽、その仲間たちが取り壊し前の団地に入り込んだことから始まるひと夏の冒険物語。
石田監督は「団地自体は映画で扱われてきたモチーフですが、“団地が漂流する”というのはいままでなかったような気がして。船や空母が漂流しているという絵面はすぐにわかるしかっこいいなと思ったんですが、“団地が漂流している”というギャップというか、それを最初に描いた時に気に入ってしまった」とコメント。本作を作り始める時期には「団地への興味が尽きなくなった」そうで、団地に引っ越し、いまでもそこに住んでいるという。「窓を開けると木があって、同じ棟がいくつか立ち並んでいて、向こうの方まで緑が続いている」と家の窓からの風景を明かすと、瀬戸が「(本作の)冒頭みたい!」と笑顔を見せていた。
小学6年生の航祐を演じた田村は「航祐くんを最初に見た時に、かっこいいし、かわいい少年だと思った」と印象を語りつつ、「夏芽に対してぶっきらぼうで、ほかの友人たちに対しても、根は優しそうな雰囲気は感じるんだけど、とにかく素直じゃない」と楽しそうに役柄を分析。自分の素直な想いを内に抱えているキャラクターだからこそ、「大丈夫かな、できるかなと不安になった。感情表現が内に向かっているキャラクター。最初は苦戦はしていました。監督や音響監督からいろいろと指示をいただいて、だんだん航祐くんになっていけた」と感謝していた。
夏芽役の瀬戸は、オーディションの話が舞い込んできた時に「挑戦だと思ったのが、小学生であるということ」と告白。「アニメ作品のなかで子どもを演じることもありますが、これだけリアリティのある作品での小学生となると、小手先では通じないというか。若いお芝居をしすぎると嘘になってしまう。しかも6年生という、ちょっと大人っぽくもなりつつある絶妙な年代。演じるのが難しいなと思いました」とこちらも苦労があった様子。「相談しながら丁寧に作っていった」と田村同様にスタッフ陣への感謝を語っていた。
ネタバレのあるキャラクターとあって、この日は多くを語れないという葛藤を抱えていたのがのっぽ役の村瀬。演じる前に、1時間くらいかけてスタッフ陣と役柄についてディスカッションする時間を設けてもらったという。「のっぽのことを深く考えてくださっているのがわかった。こちらも報いたいという気持ちが生まれて、みんなで作り上げたキャラクター。大好きなキャラクターになっています」と続けると、田村は「のっぽ、いいよね。大好き!」、瀬戸も「一番難しい役どころな気がする」とのっぽは気になるキャラクターだったと話す。石田監督は「村瀬さんが微笑ましく演じてくれた」と難役を演じ切った村瀬を大絶賛だった。
またそれぞれが、小学6年生のころの記憶を振り返るひと幕も。田村は「とにかく目立ちたいと思っていたタイプ。応援団長とかやっていて、活発でした。男子に混ざって『わー!』とやっている感じ」とにっこり。「むっちゃん(田村)の小6の話を聞いて、イメージ通りでありがたい感じ」と声を弾ませた瀬戸は、「私も活発でした。外で遊んでいることが多くて、こんがり日焼けしていました」とのこと。そして村瀬が「カードゲームが好きで、親に『塾に行く』と言って公園でカードゲームをしていた」と打ち明けると、同じ年だという石田監督が「すごくわかります!」と共感を寄せていた。
主題歌と挿入歌を書き下ろした音楽ユニット「ずっと真夜中でいいのに。」からは、コメントが到着。「主題歌の制作途中段階で石田監督に共有させていただいたところ、楽曲から『子どもたちに対する理解の深みや彼らの成長を感じられる』と言っていただけて、『子どもたちの漂流団地の経験だけで終わらない、先の人生を感じられる曲にしたい』と、より考えるように制作いたしました。できました。感謝です」とのコメントが劇場に流れると、石田監督が「うれしいです」と感激しきり。
「過酷な状況に子どもたちに身を投じさせてしまって、スタッフ、キャストの方々も道連れにしてしまったような感覚がある。ご時世もあって、なかなかつながりが薄くならざるをえない状況のなかで、それでもやらねばならないと、机にへばりついて絵を描いていました。航祐と夏芽を助けたい、背中を押してあげたいという気持ちで、しがみついて描いていた」と渾身作への想いを語っていた。
取材・文/成田おり枝