18歳でスクリーンデビュー!『ハモン・ハモン』から『パラレル・マザーズ』まで、ペネロペ・クルスの活躍をプレイバック!
ジョニー・デップやトム・クルーズ、マシュー・マコノヒーらスターとの共演
母国以外でも仕事をしたいと思っていたクルスの初の英語作品は、第二次世界大戦から数年後の西部を舞台にした、スティーヴン・フリアーズ監督の『ハイロー・カントリー』(98)。当時まだ英語がおぼつかなかったクルスは、主人公ピートの恋人でメキシコ人のジョセファ役を演じた。2000年、マット・デイモン演じる主人公ジョンと恋に落ちるアルハンドラ役で、ビリー・ボブ・ソーントン監督の『すべての美しい馬』に出演。彼女にとって初のハリウッド大作だった。そして、セクシーな女性料理人イザベラ役を演じたロマンティック・コメディ『ウーマン・オン・トップ』(00)では、ハリウッドで初めて主演を務めることとなった。
続いて、70年代に暗躍した伝説のドラッグディーラー、ジョージ・ユングの妻マーサ役で、ジョニー・デップと共演した『ブロウ』(01)。第二次世界大戦下のギリシャを舞台に、イタリアの占領軍の指揮官と恋に落ちる地元医師の娘ペラギア役で、ニコラス・ケイジと共演した『コレリ大尉のマンドリン』(01)など、出演オファーは次々に舞い込んだが、当時は彼女の演技力というより、明らかに美貌目当ての役柄が多かった。
そんななか、世界中に彼女の名前を知らしめるきっかけになった作品が、トム・クルーズ主演の超大作『バニラ・スカイ』(01)だ。1997年に彼女が出演した『オープン・ユア・アイズ』のリメイクで、当時オリジナル版を観たクルーズが感動のあまり、即座にリメイク権を獲得。クルスはオリジナル版と同じヒロインのソフィア役で出演した。この作品での共演で2人の恋愛が公になるが、撮影当時、クルーズが妻ニコール・キッドマンと離婚したこともあって、メディアは大騒ぎに。交際から3年が経った2004年、結婚目前と言われた2人だったが破局を迎えた。
そのほか、アメリカ映画では、マシュー・マコノヒーと共演した(撮影後1年ほど交際)アクション・アドベンチャー大作『サハラ 死の砂漠を脱出せよ』(05)や、親友サルマ・ハエックと共演したウエスタン・コメディ『バンディダス』(06)などに出演した。
『それでも恋するバルセロナ』でアカデミー賞受賞!
話題性はあっても、正直あまりパッとしない作品への出演が続いていたクルスにとって、ハリウッドでの起死回生の作品となったのは、ウディ・アレン監督がスペインで撮ったロマンティック・コメディ『それでも恋するバルセロナ』(08)である。彼女が演じたのは、バルデム扮する有名な画家の元妻で、才能豊かだが、情緒不安定な天才肌の芸術家マリア・エレーナ役。共演のスカーレット・ヨハンソンが霞むほどの圧倒的な存在感を見せた演技は賞賛を浴び、第81回アカデミー賞助演女優賞をはじめ、英国アカデミー賞助演女優賞、ゴヤ賞助演女優賞など、数多くの賞を獲得。クルスは米アカデミー賞を受賞した史上2番目のスペイン人俳優となった(1番目はバルデムで、2007年の『ノーカントリー』で助演男優賞を受賞)。
この作品で認められて以降、クルスはフェデリコ・フェリーニの自伝的映画『8 1/2』(63)をリメイクしたロブ・マーシャル監督のミュージカル映画『NINE』(09)、同じくマーシャル監督の『パイレーツ・オブ・カリビアン 生命の泉』(11)、アレン監督のコメディ『ローマでアモーレ』(12)、リドリー・スコット監督のスリラー『悪の法則』(13)、ケネス・ブラナー監督&主演のミステリー『オリエント急行殺人事件』(17)、女性エージェントたちが活躍するスパイ・アクション『355』(22)など、実に幅広いジャンルのハリウッド映画で生き生きと演技をしているように見える。
ブランドアンバサダーとしての活躍や慈善活動への取り組み
絶え間なく作品に出演する一方で、俳優業以外の活動も多彩。小柄でスラリとしたのびやかな肢体に、どこかあどけなさが残るキュートな顔立ちというフォトジェニックなルックスは、ファッション業界、ビューティ業界からも熱い視線を送られている。過去にラルフ・ローレンやロエベのキャンペーンモデルを務めていたクルスは、2018年には自身も長年愛用してきたシャネルのブランドアンバサダーに抜擢される。コスメブランドではロレアルの広告塔やランコムのアンバサダーとしても活躍。アカデミー賞授賞式や国際映画祭のレッドカーペットなど晴れの舞台での彼女の麗しい姿は常に注目の的だ。
また、クルスが母国スペインで有名になり始めていた若かりしころ、新聞社からの依頼で、インドにいるマザー・テレサと1週間一緒に過ごす機会を得て以来、チャリティ活動に非常に熱心なことでも有名。インドのホームレスの少女たちを助けるためにサベラ基金を創設したり、ネパールやウガンダを訪れたりしている。エイズや薬物中毒の問題にも強い関心を寄せ、コロナ禍中の2020年3月には夫のバルデムとともに、医療用防護具をマドリードの病院に寄付した。
私生活では恋多き女として知られ、デビューからハリウッド進出後10年近くは、ほとんどといっていいほどの出演作で、共演者とのロマンスが報じられてきた(例外はジョニー・デップぐらい)。しかし、デビュー作『ハモンハモン』の相手役で、かつての恋人だったバルデムと『それでも恋するバルセロナ』で再会し、撮影終了後に交際をスタート。2010年7月に結婚し、11年に長男レオナルド、13年には長女ルナを出産。現在はマドリードを拠点に幸せな家庭を築きながら、夫婦ともにキャリアも絶好調で、2022年の第94回アカデミー賞では、クルス(『パラレル・マザーズ』)とバルデム(『愛すべき夫妻の秘密』)が夫婦同時にノミネートされる快挙となった。