すずめはどんな女の子?『秒速5センチメートル』から『すずめの戸締まり』まで、新海作品のヒロインを振り返る
明るくも憂いを帯びた少女たち…美加子&佐由理
新海監督作品には、これまで様々なヒロインが登場してきた。『ほしのこえ』(02)では、国連宇宙軍のパイロットとして大型機動マシン「トレーサー」を操り、遠く宇宙で地球外知的生命体タルシアンと戦う長峰美加子(声:篠原美香/武藤寿美)。孤独と戦いながら、決して絶望することなく戦いへと身を投じていく姿は、実に儚く健気である。
『雲のむこう、約束の場所』(04)には、原因不明の睡眠障害を発症する中学3年生の少女、沢渡佐由理(声:南里侑香)。過酷な運命に翻弄される儚い存在感は、憂いをまといどこか守りたくなるような魅力を持っていた。
前へと進んでいく明里、年上ならではの魅力が炸裂する百香里
『秒速5センチメートル』(07)には、主人公、遠野貴樹(声:水橋研二)の初恋の相手である篠原明里(声:近藤好美)。初恋を引きずる貴樹に対して、初恋を糧に前へと進んだ明里。思い出に対する男女の捉え方の違いがせつなくもあるが、明里の選択はごく一般的な女性の考えと言えるだろう。
また、戸惑いのなかで本能に従い、10歳年下の主人公の秋月孝雄(声:入野自由)を受け入れていく『言の葉の庭』(13)の雪野百香里(声:花澤香菜)。ズルさもまた女性の魅力で、男はそういう部分に弱い生き物であることがうかがい知れる。
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『君の名は。』以降のたくましくはつらつとしたヒロイン像に
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