すずめはどんな女の子?『秒速5センチメートル』から『すずめの戸締まり』まで、新海作品のヒロインを振り返る
たくましくはつらつとしたヒロイン、三葉&陽菜
新海監督作品に登場するヒロインは、以前は純文学に登場しそうな可憐で透明感のある女性が多かったが、『君の名は。』(16)以降は、少女漫画から飛びだしたような、かわいらしくはつらつとした女の子になったような気がする。『君の名は。』の宮水三葉は、好奇心旺盛で人格の入れ替わりも受け入れる活発さを持つ。
『天気の子』(19)の天野陽菜もまた、年齢を偽ってアルバイトをしようと試みる大胆さがあった。きっとそれは世の中が求めるヒロイン像や、男性が女性に求める女性の理想像などの変化が、大きく影響しているだろう。しかし共通して言えるのは、弱く、儚く、健気ではあっても、芯があり過酷な道を選ぶことのできる強さを持っているということ。そうしたヒロインたちと相対する男性たちは、いつも覚悟を求められ、大きな決断をした時に物語が動いていくのも定番だ。
新海監督らしさの詰まった新ヒロインの活躍に注目
時代と共に変化する、理想の女の子を描き続ける新海監督作品。『すずめの戸締まり』のヒロイン、すずめは、『君の名は。』以降の新海監督らしいヒロイン像と言える。グリーンを基調にした制服に赤いリボンは三葉。後ろで結んだロングヘアーは陽菜(『天気の子』ではツインテール)で、空を飛んでしまうあたりも共通。2人の魅力を踏襲しながら、いまという時代を映した新たなヒロイン像が誕生した。
文/榑林史章
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