『ブラックパンサー/ワカンダ・フォーエバー』サントラ収録の全20曲を徹底解説!リアーナ新曲や世界各国で見出された気鋭まで
11. Laayli' kuxa'ano'one -Performed by Adn Maya Colectivo and Pat Boy and Yaalen K'uj and All Mayan Winik
「集合的なマヤのDNA」とクレジットされているのはマヤ人のラッパー、パット・ボーイたちが参加した曲だから。マヤ人はメキシコ南部から中央アメリカの北部の先住民族であり、タロカンのルーツであるユカタン半島に多い。原曲の歌詞がないため歌詞の大意がわからないのだが、じつはエンドロールで流れた曲であり、ほかの曲同様本作のストーリーに寄り添っていると思われる。
12. Limoncello -Performed by OG DAYV (Featuring -Future)
OG DAYVを新人かと思ったら、ベイエリアはリッチモンドのホワイト・デイヴが改名していた。ライアン・クーグラー監督とゴランソンが手がけた『フルートベール駅で』『クリード チャンプを継ぐ男』、そして『ブラックパンサー』のサントラに参加しているので、親しいのかもしれない。共演のフーチャーはアトランタの超人気ラッパー。2022年も『I Never Liked You』が長いことビルボードのチャートに留まっている。「リモンチェッロ」はレモン味のウォッカベースのカクテルだが、リリックは冷徹で、金、女、権力至上主義のヒップホップらしい内容。アメリカ人による曲のせいか、劇中では本作から新たに登場するキャラクター、アイアンハートことリリ・ウィリアムズが聴いている設定でちらっと流れた。
13. Anya Mmiri -Performed by CKay and PinkPantheress
ナイジェリアのCKayと、UKのピンクパンサレスのタッグ。CKayはアフロビーツにR&Bとダンスホールを注入したスタイルが得意なシンガーソングライター・プロデューサーだ。ケニア出身の母をもつピンクパンサレスはドラムンベースを新解釈したサウンドで人気。自分の音楽を「エモアフロ」と呼ぶCKayとの相性は抜群で、「涙を流して前を向く」というメッセージが込められている。シュリがラボに篭っているシーンで使用され、彼女の心情が伝わってきた。CKayとピンクパンサレスは、どちらもアトランティック、ワーナー・ミュージック系列のレーベルと契約しており、広い意味でレーベルメイトだ。
14. Wake Up -Performed by Bloody Civilian (Featuring -Rema)
血まみれの市民、つまり戦う覚悟のある市民を意味するブラッディ・シヴィリアンはナイジェリアの新しいアーティストだ。同国の人気ラッパー、リマを招いた不穏な響きのアフロビーツの曲は、戦闘体制に気持ちが切り替わる時を歌っている。
15. Pantera -Performed by Aleman (Featuring -Rema)
メキシコのラテン・トラップの人気者アレマンと、ナイジェリアのリマが組んだ曲。アレマンはスペイン語、リマは英語にピジン語を混ぜてラップしており、中米とアフリカのカルチャーが交差するスリリングな曲だ。アメリカ合衆国の産物であるヒップホップだが、世界中の言語で独特の響きを入れて発展しているのがよくわかる。
特集:音楽と映画を楽しもう!【PR】
■『ブラックパンサー/ワカンダ・フォーエバー/ワカンダ・フォーエバー ミュージック・フロム・アンド・インスパイア―ド・バイ』
・国内盤CD 12月21日(水)発売 UICH-1020 2,750円(税込)
・配信版視聴、予約はこちらから