ルーカスフィルムが総力を結集!壮大な冒険の幕が開く「ウィロー」第1話&第2話をレビュー
“しるし”を持つ赤ん坊は意外なところに…師となったウィローが築く、新たな師弟関係
第2話では、前作からの20年というストーリー上の時間経過のなかでウィローとソーシャ、そして“しるし”を持つ赤ん坊=エローラになにがあったのかが少しずつ見えてくる。いずれ世界を束ねる存在になるエローラに魔法の訓練をさせたいと考えるウィローと、彼女に普通の生活を送らせたいと願うソーシャ。
さながら2人の対立は、子どもの教育方針をめぐっての争いのようなものだ。魔法に憧れを持ち続け、本当に魔法使いになれたウィローと、魔術によって実母がダークサイドに堕ちたソーシャ。そう考えると意見が食い違うことも致し方あるまい。とはいえ幼いエローラに会いにきたウィローにソーシャが言い放つ、「豚を消す手品でもするつもり?」(これは前作のクライマックスでエローラを救ったウィローの魔法のことだ)というのはいくらなんでもあんまりだ。
ダヴがエローラであることがわかり、ここが好機と魔法を教えようとするウィローに対し、呪文一つうまく唱えることができないダヴ。ここでもまた一つ、新たな食い違いのようなものが生まれ、それに引きずられるようにして旅の仲間たちのなかにも険悪なムードが立ち込め始めてしまう。終盤ダヴがグレイドンに吐露する真意。努めて“普通”に育てられてきた子どもが“特別”であることを期待された時、どのように応えることができるのかという葛藤。誰もが共感できる成長の悩みとして描かれていることで、等身大のキャラクターたちに感情移入させられるのだ。
前作では魔法をなかなか使いこなすことができず、苦しみながら成長していったウィロー。それが本作では“大導師”として偉大な魔法使いになって尊敬を集めており、時の流れがしっかりと物語に組み込まれている。フィン・ラゼルからウィローへ、そしてウィローからダヴへ。師弟関係の継承というファンタジーの王道プロットは、物語のゆくえを大きく左右することとなるだろう。
ところでこの第2話では、前作で活躍した“シャーリンドリアの杖”が登場する。このように随所に前作の要素が散りばめられているとなれば、“カイメリアの胸当て”を探しに行ったままどこかへ消えてしまったと語られるマッドマーティガンの再登場にも期待したいところだ。
「スター・ウォーズ」「インディ・ジョーンズ」を生みだしたルーカスフィルムが持てる力を結集した、非常に贅沢なオリジナルシリーズ「ウィロー」。この年末年始は毎週水曜日の夕方が来るのを楽しみに待つことになりそうだ!
文/久保田 和馬