“宇多田ヒカル世代”がこだわり抜いた「First Love 初恋」制作秘話！満島ひかり＆佐藤健の貴重なオフショットも

寒竹監督の念願叶う！満島ひかり＆佐藤健とのコラボレーション

本作の魅力をさらに高めてくれるのは、ダブル主演を務めた満島ひかりと佐藤健の好演だ。『愛のむきだし』(09)や『川の底からこんにちは』(10)で注目を集めて以来、その類稀なる表現力で第一線を走り続ける満島の魅力について寒竹監督は「満島ひかりの芝居はフィジカルがおしゃべり」と表現する。

かねてから満島と一緒に仕事をしたいと思っていたという寒竹監督は、実際に満島と対面しすぐさま意気投合。そのエネルギッシュな魅力を目の当たりにし、活発に意見交換を交わしたという。満島の作品に対する熱量や、個人としての生き様や明るさと生命力に触れたことで、也英というキャラクターの人物像がふくらみ、より魅力的な主人公が作られていった。

一方、佐藤と寒竹監督の関係は10年以上前に遡る。佐藤の初主演作である「仮面ライダー電王」の放送期間中に撮影が行われた、佐藤のDVDの演出を務めたのが寒竹監督だった。そのなかで短編映画をひとつ制作し、それは寒竹監督にとって初めて演出を務めた映像作品でもある。その際に交わした、「またいつか一緒に仕事を」という約束が、いまこうして結実した。

佐藤といえば「るろうに剣心」シリーズなど、高い身体能力の持ち主としても知られている。その魅力を存分に生かすため、寒竹監督は「晴道の躍動感を見せたい」とアクションシーンを追加。また佐藤も、寒竹監督の想いに応えるように、過去を背負った30代半ばの男の惑いや揺れといった複雑な心境を演じ抜き、現役の航空自衛隊パイロットも絶賛する自衛官の所作や繊細な手話の表現など、晴道という役柄を自分のものにしていった。

ほかにも、約1年がかりで行われた撮影でとらえられる日本各地の四季折々の美しいロケーションや、1990年代を忠実に再現した美術や衣装、小道具、ひいては作品全体のトーンに至るまで、“宇多田ヒカル世代”の寒竹監督がこだわり抜いたディテールの数々が物語を彩っていく。是非とも劇中に描かれる時代にタイムスリップし、主人公たちと共に20年の歳月を歩みながら、唯一無二の“初恋”の物語を堪能してほしい。

文/久保田 和馬